「中小企業家しんぶん」 2007年 9月 5日号から

6同友会が8金融機関と提携

金融アセス法制定運動で生まれた連携・協力

　同友会が2001年以降取り組んできた金融アセスメント法制定運動※。法制化はまだですが、地域や中小企業に配慮した金融政策への転換を促すなど、貴重な成果を生み出しました。その成果の1つとして地域金融機関と同友会の連携・協力関係が進んだことも特筆されます。この面で各地の同友会の事例を整理すると次の3つに整理されます。

　第1は、地域金融機関と同友会の懇談を定期開催して相互理解を深め、金融相談会を開催するなど協同の取り組みを進めている事例。第2には、地域金融機関が同友会の新支部設立や会員増強に協力するなど同友会の組織づくりへの支援を進めている事例。第3には、地域金融機関との協力関係が具体化され、業務提携による金融商品の開発や会員企業を対象とした金利等の優遇措置などを実現した事例などです。

　3番目の業務提携の事例については、これまでも本紙で紹介してきましたが、ここ2年ほどの全国的な到達点・状況について把握できるよう、一覧にして紹介します。

※金融機関と借り手側の取引慣行の歪みを是正し、中小企業と地域金融の共存共栄をはかるため、地域や中小企業に円滑に資金供給する金融機関の努力の度合いを評価・公開し、金融機関の選択を利用者の判断にゆだねる仕組みを法制化しようというもの。

最近の各同友会と金融機関との業務提携の事例

同友会	金融機関	提携商品名	開始日時	概要
埼玉同友会	埼玉りそな銀行		2005年6月	会員がビジネスローン『埼玉倶楽部』（500万円以上5000万円以下）、『保証革命』（500万円以上3000万円以下）の利用申し込みを行う際、埼玉同友会より発行の紹介状の提出があれば、事務取扱い手数料10, 000円が免除になります。
北海道同友会	札幌銀行	人材育成サポートプラン・新人王	2005年11月	北海道同友会と札幌銀行との「地域金融懇談会」の席上、同友会側参加者から「中小企業にとって、人材の採用と育成が企業発展の要。新卒採用と育成を応援する人材育成融資ができないか。中小企業の発展と雇用の拡大にもつながるのではないか」との提案があり、開発されたもの。融資金額は新卒者1名につき300万円、1社上限3000万円、融資期間は3年以内。金利は年1.25%の固定金利で代表者1名の保証が必要（担保は不要）。同友会の共同求人活動にも活用できます。
広島同友会	広島銀行	育児・介護等支援融資制度「家庭円満」	2006年8月	広島銀行はCSR（企業の社会的責任）の一環として、育児休業や介護休業を取得しやすく、職場環境の整備などに取り組む企業を資金面から支援をしようと、育児・介護等支援融資制度をスタート。資金の使途は、育児休業者の代替要員の確保費用や託児所の設置・運営費用などで、1億円まで。一般の融資利率より優遇されています。　その上、厚生労働省の「ファミリーフレンドリー企業表彰」の受賞企業、広島県の「仕事と家庭の両立支援」の登録企業、そして「広島県中小企業家同友会」の会員企業は、さらに優遇されています。
沖縄同友会	琉球銀行	「順風満帆」「ベストサポート」	2006年9月	対象商品は無担保で第三者保証人不要の「順風満帆」と「ベストサポート」で、それぞれの通常金利より0.3％軽減。最高融資額は5000万円で融資期間は最長7年間。融資を受けるには同友会入会3ヵ月が経過し、同友会発行の「提携融資斡旋書」が必要。
沖縄同友会	沖縄銀行		2006年10月	新卒採用企業への融資制度の取り組みの1つとして、沖縄同友会では沖縄銀行と融資金利を最大0.5％優遇する商品を業務提携しました。
香川同友会	高松信用金庫		2007年2月	提携商品は、「原則無担保」「第三者保証人原則不要」「手数料・保証料原則不要」で、各信用金庫所定の金利よりも0.3％金利が優遇されるというものです。本提携の特徴は、「経営指針書」の作成及び提出を義務付けていること。香川同友会では、この業務提携を、経営指針書成文化運動を会の内外に広める契機としていくことにしています。
香川同友会	観音寺信用金庫		2007年2月	同上
岡山同友会	おかやま信用金庫	おかやましんきん中小企業家活性化融資“同友”	2007年6月	業務提携は、融資だけでなく、相談業務や大学との連携支援、お互いの研修会への参加による人材育成など、多岐にわたっています。また、融資条件の中で、経営指針の成文化を義務付けている会員向けの特別融資商品「おかやましんきん中小企業家活性化融資“同友”」は、原則無担保、第三者保証不要、手数料保証料不要、おかやましんきんプライムレート0.3%以上金利が優遇されるものとなっています。