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各地の動き

「中小企業家しんぶん」 2004年 4月 15日号から

各金融機関と懇談会相次ぎ開催

【愛知】


 愛知同友会では、金融アセスメント法制定運動の一環として、金融機関との懇談会を行っています。昨年11月名古屋銀行、今年2月には大垣共立銀行、瀬戸信用金庫、3月に入ってからは愛知銀行、16銀行、中京銀行と懇談会を実施。さらに碧海信用金庫等の地域金融機関との懇談会も予定されています。

 懇談会では、「地域社会での中小企業との共生」や「金融アセスメント法」に関して、さらに貸し手と借り手という立場の違いを前提とした信頼関係のあり方などについて意見交換されました。16銀行との懇談会に出席した藤田彰男氏の報告を、「同友Aichi」4月号から紹介します。


懇談会に出席して
変わりつつある地銀の経営戦略

赤津機械(株)社長 藤田 彰男(愛知・金融アセスメント推進プロジェクト)


地域再生なくして金融機関の再生なし

 先般、3月16日に行われた16銀行との懇談会に参加した。銀行側からは、経営企画、営業支援、事業支援、地域振興の4人の部長が出席された。

 同友会との懇談会という設定のためか、「地域の再生なくして地域の金融機関の再生なし」という担当部長の発言が端的に示す様に、「一律的な不良債権処理型」から「可能なものは再生型」ではあるが、地銀の経営戦略は変わりつつあるようだ。

 「変わりましたね?」と率直にたずねると、「変わらなくては生き残っていけないのです」というコメントが返ってきた。具体的な事例として、起業を推進する無担保ローンの新設や経営再建のサポート体制の充実等についての詳細な説明でも、これまでの金融機関にはない新しい姿勢を感じとることができた。

 以上のような経営戦略をたてる上で、昨年3月の金融庁から出された「リレーションシップ・バンキング構想」が大きく影響しており、また今年2月の「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」の改定に関しては地銀としても評価しているようだった。

 しかし、実際に私たちが接する営業店の担当者と本部の意識のギャップは大きく、新しい商品やサポート体制を理解して顧客に紹介できるかと言えばまだまだのようで、今後の課題のように思われた。

企業家は自社を自分の言葉で語ろう

 わずか1時間という短い枠のなかで、銀行から中小企業経営者に望むことも聞いた。

 「自分の会社の実態を営業面だけでなく、財務面でもよく理解しておいて欲しい」、特に「銀行からはどう見られているのかに心を砕いて欲しい」、また「必要な時には銀行の声にも素直に耳を傾けて欲しい」など、基本的なことに関する意見が金融機関側から出された。

 経営計画や資金繰りなどをキッチリと押さえ、自分の言葉で自社を語れるようにいつも準備しておくことが、やはり中小企業家として最低限求められていると改めて感じた。

 また、無担保の起業家向けローンの説明で融資に当たっての能力評価について説明があり、その項目として先見性、意欲、周りを観る力、孤高力などが、銀行側から挙げられた。特に「孤高力」とは何かに興味を持った。それはたとえば、「自分の間違いに気づいた時、指摘された時に修正できるような能力」だとの説明を相手方から受けたが、全力で戦いながら、かつ冷静に自分を見つめることができる心の余裕は、起業家に限らず大切なことだと感じた。

「金融アセス」運動に私たちは誇りを持とう

 同じく起業家として「事業計画がハッキリしていること」、「資金繰り計画を立てられること」なども評価対象だそうだが、この部分は実際の経営経験がなければクリアするのは困難で、「これから」というルーキーには荷が重いのではなかろうか?

 もっとも融資の実行に当たっては銀行のサポートチームが張りつくとのことだから、その部分を担保しながら、起業家と銀行のコラボレーションとなれば、やはり今までには考えられなかったことと言えよう。

 率直な感想として、今回の16銀行をはじめ、地域金融機関は明らかに変わろうとしている。それは私たちにとって良いことには違いない。

 それを可能にした「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」の改定に、「金融アセスメント法」の運動が少なからず影響を与えたことを私たちはもっと誇りをもつべきであろう。

(愛知同友会『同友Aichi』4月号より)

 

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