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アセスQ&A

Q13 法案設立の見通しはあるのでしょうか。運動に取り組んでも何も成果なく終わるということになりませんか。

法案設立の見通しは、なんといっても署名運動を通じた世論づくりと地方議会での金融アセス制定意見書の採択運動、そして国会議員への働きかけにかかっています。

現在の署名を中心とした金融アセス法制定運動は、短期間の取り組みの中でも貴重な成果と発展の芽がでています。

第一に、地方議会で金融アセスメント法制定の国への意見書採択が進んでいることです。

千葉県習志野市、埼玉県新座市に続いて、北海道議会が全会一致で意見書採択し、北海道のすべての市町村議会(212議会)で意見書が採択されました。岡山県や福岡県などでも同様の動きが広がっています。現在、県議会レベルでは、北海道、宮城県、栃木県、石川県、岡山県、沖縄県の6道県議会で意見書を採択。全国14都道県で、全自治体の1割に当たる、325議会で決議・意見書採択が進んでいます。このように短期間に地方政治やマスコミの中に金融アセスへの理解が広がっていることは大きな成果であり、長い同友会の歴史の中でも初めての経験です。私たちの運動が客観的にも歴史的にも「大義がある」運動であると確信できます。

第二には、金融機関と懇談、対話(懇談の実施は、地銀・第二地銀が25行、信金が36金庫、4信金協会、信用組合が3組合など)が進む中で、金融アセス法にたいする理解が深まっていることです。

ある信金の理事長は、「信用金庫法第一条の理念と金融アセス法の主旨は一致する」と述べていますが、金融再編時代の地域金融機関の今後の経営戦略から考えても、その存在価値をかけて地域再生や顧客に支持される営業活動を展開しなければ生き残っていけないという思いは、私たちの金融アセス実現を願う気持ちと重なり合うものです。

第三には、金融機関や中小企業団体、行政などとの対話が進むことで、日常的な連絡関係から金融環境を共に考える場を地域に設置できる可能性があることです。

アメリカの地域再投資法(CRA)が機能しているのは、地域に広範なNPO(非営利組織)など民間の自主的組織が存在し、CRA投資の受け皿になっているからと言われています。たとえば、住宅ローン貸出などを金融機関が地域のNPOに委託し、運用を任せたりしています。これは、「コミュニティ開発金融機関」(CDFI)などと呼ばれているものです。CRAにより、銀行と地域活動組織との協力関係を深め、地域のNPO(非営利組織)など信頼できる組織と契約して融資業務の一部を委託したり、ある程度の金額を委託運用することが行われ、さまざまな形のCDFIが地域で機能しています。CDFIは、地域課題を解決するための一手段として設立された金融機関ですが、土地担保に頼らない融資技術と地域情報密着型融資を特徴としているそうです。

日本でも金融アセスメント法の制定と地域での実際の運営を考えるならば、同友会のような民間団体が重要な役割を果たす必要があり、金融アセスを運動として提起した同友会にその責任があると言えます。この間の金融機関や中小企業団体、行政などとの日常的な連絡関係を定期化し、地域金融のあり方を研究・協議できる場づくりを今後展望することができます。

第四には、私たちの金融問題での主張や金融アセスメント法が述べている精神や主旨の一部が政治・行政の場で検討され、実現の方向にある事例が増えていることです。

たとえば、破産法を改正し、経営者の個人保証責任を軽減しようという動きがあります。また、公正取引委員会は2001年7月、『金融機関と企業の取引慣行に関する調査報告書』を公表し、「不公正取引の観点」から金融取引で独禁法の考え方を初めて示すなど、今後の動きが注目されます。このように「取引慣行是正」の面からも貴重な成果が生まれつつあります。

金融庁は、自己資本比率を中心として金融機関を検査する「金融検査マニュアル」に対する同友会など各界からの批判に応え、「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編」を出しました。16の事例を中心に債務者区分等の判断基準を示していますが、同友会などの「大企業とは別の中小企業融資基準を」との主張は退けられました。しかし、貸出先中小企業を経営数値からだけ一律に判断するのでなく、ある程度の定性的評価も入れた「マニュアル別冊」を金融庁が出さざるを得なくなったのも成果です。もちろん、今後も常に中小企業の立場から主張・情報発信し、働きかけていかなければ、判断が後退する可能性もあるわけで、金融アセス法の取り組みの中で、金融環境改善の運動として継続的に運動を進めて行く必要があります。
全国100万署名にさらにご協力をお願い致します。

[参考文献]
山口義行著「今こそ『金融アセスメント法』を制定しよう」
山口義行著『誰のための金融再生か―不良債権処理の非常識』(ちくま新書)
柴田武男著「アメリカにおける銀行への社会的規制について―地域再投資法」
平石裕一著「アメリカCRA貸出の実態」『信用金庫』2001年5月号

 

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