中小企業憲章と私

植物と中小企業憲章

福島同友会中小企業憲章学習推進本部長
安宅 勝美氏((株)泉器械店社長)


 「内需主導により景気回復」「デフレ脱出」「企業業績の回復で雇用情勢回復」、マスコミの見出しが元気良く報道しています。

 さて、本当かな。確かに大企業や一部の地域、一部の業種では報道の通りだろうが、地方経済や中小企業は景気回復を実感できる状況ではないし、デフレは依然解消していないのが現状です。いや、これからが正念場だろうと思います。

中小企業は地域で育つ植物

 福島県内の状況を見ると、建築関連の労務費は5年連続下落、物品購入入札は前年度より5%引きが前提条件、シャッター通りの増加など、厳しさが増すばかりです。数年前、某大学の経済学部教授が大変おもしろい表現で講演していたのを思い出しました。

 「中小企業というものは、植物なのです。地域の中でいろいろ貢献し、地域から栄養分をもらって大きくなってくるのです。

 大型誘致企業とか大型スーパーというものは動物であります。餌のあるときだけはやってくるけれども、餌がなくなってしまうと、またほかへ行くわけです。

 だから、地域というものは、そこに生えてくる植物を立派に育てていけば、実りが多いわけです。中小企業の人が逃げていくと言ったって、植物ですから逃げられないわけです。だから、福島県の良さは、中小企業にあり、それを伸ばしていく・・・・云々(うんぬん)」

中小企業振興条例の制定に向けて

 福島県議会も全会派によるワーキング部会が設置され、議員提出条例(福島県中小企業振興条例)として作業がすすんでおり、5月2日に議員提出条例案検討会が開催され、福島同友会を代表し、小生も意見を申し上げて参りました。

 中小企業振興条例制定が県民の意識を変え、植物に水を与え、肥料を与え、産学官連携が進展し、大企業と中小企業が共存できる社会を願いながら。

 われわれ中小企業も、地域に密着し、地域と共に繁栄を夢み、「経営」は「継栄」をモットーに頑張っていきたいと思います。それが中小企業憲章制定運動の原点だから。

「中小企業家しんぶん」 2006年 6月 15日号から

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