中小企業憲章と私

若者たちの期待にこたえて

滋賀同友会副代表理事・政策委員長 宮川 卓也(宮川バネ工業(株)社長)


 滋賀でも新しい風が吹き始めました。

 7月に行われた知事選でほとんどだれも再選を疑わなかった自民・民主の2大政党が支持した現職を、無名に近い、大学教授の女性候補が2万票以上の差をつけて破ったのです。主要な争点は、250億の新幹線新駅に対する投資の是非だったと言われています。

 また、滋賀同友会が龍谷大学のインターシップ生318人を対象に行ったアンケート調査の結果によりますと、就職先として大企業が良いと答えた学生32%に対し、中小企業がいい13・5%、どちらでも良い51・9%と、学生の就職志向が必ずしも大企業志向ではないことも分かってきました。若者や地域住民の意識の中で、多額の負債を伴ういわゆる「箱物行政」や、「大企業=高給、生活の安定」というこれまでの「神話」が崩れていっているのではないかと思います。

 今こそ、私たち中小企業家が、地域経済や若者の就業機会の保障に責任を持つ立場から、その正しい解決のための政策を提起し、実践してゆくことが求められているのだと思います。そして、その具体的な保障が「中小企業憲章」であり「地域振興条例」なのだと思います。滋賀県の新女性知事は滋賀同友会の政策質問に対し、「振興基本条例」の制定、「振興会議」の設置、そしてそれに基づく「中小企業振興計画」の策定を公約されています。さらに「国において『中小企業憲章』が制定されるよう、地方から強く要請してきます」とも回答していただいています。

 アンケートに記入された学生たちの声…「企業の規模より内容が大事」「自分に適した職場であれば大小は関係がない」「大企業だと自分のやりたいことをやれないというイメージが強い」「中小企業の方が自分の力を必要としてくれそう」「就職地は滋賀にしたいと思っている」「地域密着できるから」「小さい企業の方が自分の能力をためされたり生かしたりできる」「日本の高度な技術力は中小企業が主立って担っているから」「中小企業の社員一丸となれるような雰囲気が好き」…。

 新知事や若者たちの決意や期待にこたえ、共によりよい滋賀県を創(つく)り上げていくために、滋賀同友会は今後も一層、努力していきたいと考えています。

「中小企業家しんぶん」 2006年 8月 15日号から

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