中小企業憲章と私

外部阻害環境に気づき
中小企業が地域の光になるために

山口同友会常任理事 岡屋 房枝((有)はるひ福祉サービス社長)


 中小企業憲章との出合いは、山口同友会の金融アセスメント法制定のための署名運動がひと段落着いたころの、「中小企業家しんぶん」の記事だったと思います。“すごいことが始まる”が、まず実感でした。

 以前に私は、EUの小企業憲章に出合い、その格調の高さに目の覚める思いをしましたので、日本にも私たち中小企業家の手でこのような憲章がほしいと強く思いました。

 それ以来、このままでは、中小企業のおかれている位置は変わらない、中小企業家としてのプライドがもてない! と思うようになりました。

 まずは学習と、2004年2月の第34回全研(静岡)、「あるべき日本経済の将来像と“中小企業憲章”〜手がかりは地域、モデルは同友会にあり〜」のテーマの分科会に参加しました。ただもう初めは、“難しい”の印象でした。

 私は、起業して13年、地域の中で経営者として努めてきました。過疎の町で、求められて始めた介護福祉事業ですが、あまりにも社会的縛(しば)りが強く、猫の目のようにクルクル変わる法律。現場無視、弱者置き去りの制度の壁、その現実の中で、いとも簡単に人の幸せが踏みにじられていく、そんな格差社会の中にはまり込んでいくことに、この事業の制度上の問題点と資格者不足の地方の危機を感じています。

 経営者になり、どんなに自分が、あるいは企業が努力して頑張ってもどうすることもできない、解決の道すら見えてこない、先の展望も見えず、打開策も無い。このような状況があるのだということが“いや”というほど、分かりました。これが外部阻害環境だと気づきました。

 人が作り出している社会的環境が何のために、どう生かされているのか? 逆に、何が阻害環境であるかを分析し、本来の中小企業家が地域や人に対する使命感に目覚め、中小企業が地域で主役になり、光になるためには、何をどうするのか?

 今、地域に“無くなったら困る”といわれる事業所になっています。同友会で言う地域に役立つ、地域に雇用を生み出し、地域を活性化させる、企業になっています。そんな私たち日本の中小企業の社会的な位置付けが、今問われています。

 日本経済の発展は、中小企業憲章制定運動から始まると思っています。

「中小企業家しんぶん」 2006年 11月 15日号から

このページのトップへ ▲

同友ネットに戻る