中小企業憲章と私

委員会活動を後押しする憲章

中同協経営労働委員長 大野栄一((株)大栄電機工業社長/愛媛)


 私は、今回の「中小企業家しんぶん」の原稿執筆にあたり、良い機会だと思って、「中小企業憲章」の元となっている「ヨーロッパ小企業憲章」にじっくりと目を通してみました。ちょうど、DOYUNETにその翻訳が掲載されており、大変分かりやすいものとなっているので、それを見させていただきました。

 まず、この憲章は、中小企業の特徴と社会における存在意義を明確に謳(うた)っており、その文面を読むことで、中小企業経営者が大いに勇気づけられるものとなっています。そして、中小企業の存在意義を確実なものとするために、具体的な行動指針として、起業家精神のための教育と訓練の重要性、より良好な法制と規制の必要性、技術技能の獲得、税制と金融問題など、さまざまな観点での中小企業支援の必要性を謳(うた)っています。

 おそらく、このような環境下で中小企業経営が営まれるならば、社会の中で9割以上を占める日本の中小企業にとっては、大いに活性化につながることと思います。

 さて、私は現在、中同協の経営労働委員長として、(1)労使見解の考え方・精神の各地同友会への啓蒙(けいもう)、(2)労働環境改善に関する今日的テーマの深耕、(3)経営指針成文化運動の各同友会への推進、(4)企業変革支援プログラムの開発などを、委員会の使命として活動しています。これらの活動は、中小企業経営における「よい経営者づくり」「よい会社づくり」には具体的アプローチができていますが、「よい経営環境づくり」については、具体的アプローチを示すものではありません。

 やはり、経営労働委員会の活動がさらに効果的なものとなるためには、「よい経営環境づくり」にも、しっかりと目を向ける必要があるでしょう。

 そういう観点から言えば、この「中小企業憲章制定運動」は、「よい経営環境づくり」を促進するものであり、経営労働委員会の活動を後押しするものとなることを確信しています。

 本年、年初の全国幹事会後に3推進本部と専門委員長が会議を開いた際、会長方針として、委員会からの「中小企業憲章運動」の落とし込みをしてほしい旨が伝えられました。

 今回、「ヨーロッパ小企業憲章」を見直すに際して、会長方針の重要性を認識すると同時に、委員会活動でも積極的な啓蒙をすることの必要性を再確認した次第です。

 中小企業が本来の輝きを発することができる社会づくりに、経営労働委員長の立場として、努めて参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

「中小企業家しんぶん」 2008年 3月 25日号から

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