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【18.09.15】目的は「企業の自助努力を支援する仕組み」〜広陵町中小企業・小規模企業振興基本条例制定に向けて〜【奈良】

条例制定にむけたシンポジウムの開催

 6月24日、広陵町ふるさと会館グリーンパレスにて「広陵町の中小企業等が元気になるためのシンポジウム」(主催:広陵町、共催:広陵町商工会、奈良同友会)が開催されました。

 シンポジウムは奈良県内の市町村で初となる「中小企業・小規模企業振興基本条例」制定に向け、条例の意義を町内事業所や町民に理解を広げることを目的に行われ、約100名が参加しました。

 冒頭、同町からこれまでの経緯についての報告の後、昨年実施された町内全事業所を対象とし6割超の回答があった事業所調査について分析にあたった奈良女子大学中山徹教授から報告、愛媛県東温市産業創出課山本一英課長、愛媛同友会代表理事米田順哉氏による東温市での事例報告のほか、パネルディスカッションが行われました。

 中山教授は調査の結果、事業承継が喫緊の課題であり対策が講じられなければ今後20年で6割の事業所が減少する可能性を指摘するとともに、条例を軸に各業種の課題に対して施策を講じてゆく重要性を強調しました。

 東温市山本課長、米田氏からは、同地でのこれまでの取り組みとともに、個々の事業所が自社をよくしようとする自助努力が大切であり、そういった事業所を支援し増やしてゆくことで地域経済の活性化をはかるのが条例であると報告しました。

条例を“自分ごと”にする

 同町職員、商工会、町内事業所も加わったパネルディスカッションでは、改めて個々の事業所の努力の大切さが強調され、そのうえで条例制定後は自助努力を支援する施策について考えてゆくこと、各事業所が地域循環を意識し共に地域社会の一員としてつながり連携しあうこと、主体はあくまで個々の事業所であるが、町、金融機関、大学、市民など町内のさまざまなプレイヤーが集まりそれぞれの立場でできることを意見交換しながら、町内事業所の振興を通じた地域活性化のために協力をしていくことが条例の精神であるなどが話しあわれました。

 報告を真剣に聞き入る参加者の姿が多く見られ、また終了後のアンケートで「条例に興味を持った」という回答が多数寄せられるなど、条例に対しての関心の高さがうかがえたシンポジウムとなりました。

地域の声を引き出すワークショップ

 2016年5月から始まった広陵町、広陵町商工会、奈良女子大学、奈良同友会で構成する「広陵町の地域活性化をめざす中小企業・小規模企業振興基本条例制定にむけた検討会」(以下、検討会)では、これまで愛媛県東温市・松山市、宮城県南三陸町、北海道別海町や釧路市での視察学習を実施、各地の条例に基づく地域づくりについての学びを深めながら広陵町の活性化について意見交換を重ね、地域の事業者や住民の生の声を原動力にしていくことが柱になることを確信してきました。

 今回、シンポジウム開催と合わせて前後に町内事業所を招いたワークショップを複数回実施、条例についての理解を広げるとともに各業界や事業所の課題を出しあいながら条例制定後の振興会議や施策を意識した取り組みも始めています。

 検討会では今後もワークショップを重ねながら町内事業所同士の連帯感を醸成すると同時に、共に町の活性化を担う主体者の輪を広げ、条例制定後に設置される振興会議や振興計画がより豊かなものになることをめざしています。

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