講演録

中小企業憲章制定へ
〜同友会理念を会活動や経営で実践するとは

中同協女性部連絡会担当常任幹事 糸数久美子氏

 10月1〜2日千葉で、中同協女性部連絡会が開かれました。2日目に糸数女性部連絡会代表が「中小企業憲章制定へ〜同友会理念を会活動や経営で実践するとは」のテーマで次のように報告しました。

 

 私は愛知から沖縄にきました。日本で唯一地上戦の行われた地、大戦後伝統芸能や文化を守りながら立ち直ってきた沖縄。女性が働くのは当たり前、人間が人間として豊かに生きるという女性の強さを学びました。

 沖縄同友会では、沖縄の美しい海の色から女性部会を「碧(あおい)の会」と名づけ、「見つめます地域を、結びます心を」というテーマで創立総会を行い、それから毎年このテーマの下、「輝く女性のつどい」を年1回開催しています。

 女性部を立ち上げる際には、討論で経営の話ができるよう、経営に携わっている方かどうか入会資格を明確にしました。部会は財政的に本会から自立するため、行事をやったら必ず黒字にして積み立てるようにしています。部会では女性同士話しやすく、どんな人も同じ人間、同じ心を持っていることを実感でき、そこでの同友会の学びで、出席を負担に感じていた理事会にも参加しやすくなりました。

 全国総会や女性部交流会では、初めて会った人でも率直に多くを語り合え、テーマを深め、「ここまで語り合うのか」と驚きました。おかげで全国に友人を得、学ばせてもらいました。沖縄で全国婦人部交流会を引き受けようと思ったのは、当時各同友会の婦人部の代表者が集まって行っていた全国婦人部代表者会議に参加したことが大きな契機になりました。

 私は、夫が始めた事業に関連して別会社を作り、経営していました。社員とは仲良しクラブの状態で、3年前、厳しくなっても率直に問題を提起することができずにいました。そこで、「第2の創業」をするつもりで、改めて「労使見解」(中同協「中小企業における労使関係の見解」)を学び、経営者の責任、人間を尊重することの意味をとらえなおし、会社の実情を社員に率直に知らせ、社員と共に真剣に事業の改革に取り組んでいきました。その後、社員の意識が変わり、同じ社員体制で倍の利益も確保できるようになり、真の人間尊重の意味を実感しています。

 沖縄同友会では、1998年に全国的に貸し渋りが問題になってから会員に金融アンケートをとるなど早くから金融問題に取り組んできました。金融アセスメント法制定運動に取り組み始めてから本格的に金融機関と懇談会ももちましたが、最初は問題意識もすれ違っていました。今では各金融機関、信用保証協会までもトップクラスの方に出席頂き、無担保貸付の考え方やその姿勢が大きく変化してきています。

 これは全国の運動の成果であり、沖縄同友会の会勢が800名となり組織率で7・7%を超える組織になり、地域から当てにしてもらえる組織になってきたからともいえるでしょう。この運動の背景には献身的な同友会事務局の存在が大きく、沖縄同友会は事務局に支えられていると言っても過言ではありません。

 政策提言活動では、会員に各業界のトップクラスのメンバーがおり、毎年全会員アンケートをもとに県に政策要望・提言を作成し、行政と懇談しています。その成果としてリサイクル製品の利用を推進する制度を県に制定させることができました。

 沖縄県は99%が中小零細企業で、89%の県民が就労しています。地域の生活を支えているのは中小企業なのです。雇用で貢献し、地域と一体となっている中小企業。「中小企業憲章」制定へ向けて学びながら、志も高く、豊かに議論していきましょう。

(沖縄同友会代表理事)

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