政策・主張

2001年度国の政策に対する中小企業家の重点要望・提言

1.中小企業重視への政策転換と既存企業への積極的支援を具体的に

 中小企業政策は、転換期の日本経済に果たす中小企業の重要な役割を正確かつ正当に評価して、政策の比重を補完的役割から中小企業重視へと抜本的に転換させること。それには少なくとも、1.中小企業にかかわる予算は評価にふさわしいレベルに拡充すること。2.新中小企業基本法にもとづく具体策として、自立型中小企業へ向けた既存企業のさまざまな「経営革新」の取り組みに対して中小企業の実態に即した支援を積極的に行うこと。3.中小企業の範囲の基準として「独立性」を厳格に適用して、形式的には中小企業であるが実際には大企業保有企業を中小企業の範囲に入れないこと。4.地域経済の活力を再構築するために、権限とともに現在国にある財源を適切な形で自治体へ委譲する措置をとること。5.政策の具体的立案にあたっては、住民や中小企業の現場の声を正当に反映させるために当事者の参画を積極的に図ること。6.これらの改善を率先して実行できるようにするために担当省庁の政策担当者を数年間は同一セクションに専念させる人事的措置をとること。

2.地域の雇用を維持し経済を活性化させ景気回復を力強く

  1. 中小企業が地域で行なう新規事業、事業転換、ネットワーク化、自立化などのさまざまな「新しい仕事づくり」――それらは市場としては小さいが多種多様な事業であり、地域経済を活性化させ国民生活を豊かにすること、地域雇用を維持しさらに拡大することにつながっている――に対して景気対策としても位置づけて積極的な振興を実施すること。
  2. 大手ゼネコン中心の国家的大型プロジェクト方式による従来型公共事業ではなく、生活基盤整備、社会福祉重視、環境保全型等、生活密着型の公共投資は地域雇用に果たす役割が大きい。したがって、公共投資の地元発注比率を高くしながら、こうした方向へ抜本的に転換させること。
  3. 短期的な個人消費回復策として、とくに効果が高いといわれている消費税率を景気の回復が明らかになるまでの間3%に戻すこと。
  4. 国民の消費回復策のベースになる政策として、1.雇用不安を解消すること、2.国民の将来への不安を取り除くような社会保障制度(介護保険、年金等)にすることの2点を有効な景気対策として位置づけて実行すること。

3.国民と中小企業・地域に優しい金融システムを

  1. 「貸し渋り」をなくし、日本の金融システムを国民と中小企業・地域にとって健全かつ社会的に望ましいものにするために、1.金融機関の公共性を維持させる、2.銀行と借り手の取引慣行の歪みを是正する、3.現行の裁量型金融行政を利用者参加型金融行政に転換させなければならない。そのために、「円滑な資金需給」、「利用者利便」、「経営の健全性」の観点にたって必要な情報を収集して金融機関の活動を評価することを監督官庁に義務づける、その評価と判断理由を利用者が入手しやすい形で公開することを義務づける「金融アセスメント制度」を制定すること。
  2. 金融機関の合併・破綻によって生じる取引先中小企業に対する事業資金のパイプを細くすることなく、資金供給の継続を保証する法制化措置をとること。
  3. 金融監督庁の各金融機関に対する「検査マニュアル」の一律適用を改めて、中小企業向け融資を行なう金融機関に対しては実情にあった別の適用にすること。
  4. ペイオフ解禁は、中小企業にかかわりの深い金融機関から預金が流失して企業の融資がたたれるなど、中小企業の存続を不安定化させる要因となるから、預金保険法の適用を猶予すること。
  5. 民間金融機関および政府系金融機関(信用保証協会を含む)のいずれにおいても融資審査にあたっては、物的担保優先主義を改めて、経営指針の確立、経営者の経営能力、企業の技術力、開発力、市場性、社風等を総合的に評価するシステム(総合評価システム)への転換を早急に図られたい。

4.取引の適正化による公正競争へ

  1. 「市場原理の尊重」のもとでこそ中小企業の公平な市場参入の機会が確保されなければならないが、それにはなによりもまず中小企業に不当な不利益を与える不公正取引(とくに大企業と中小企業との間における)に対して市場のルールを守るべく具体的な「厳正・迅速」な政策的対応が不可欠である。その具体策は、独禁法(独占禁止法)の「厳格な運用」あるいは独禁法の新たな強化をはかり、独禁法を遵守させること。さらに、公正取引委員会の権限の強化と司法(裁判所)機能の強化および独禁法の私訴規定のさらなる充実を図って、ルール違反防止と不公正取引の是正・防止を厳正に実施すること。
  2. 純粋持株会社解禁は、多様な形態によって大企業の経済力を過度に集中化させる市場寡占の危険性が高い。これを野放しにすると国民経済の歪みを増大させ中小企業の消滅が現実化するので、独禁法に過度集中に歯止めをかける明確な措置を入れること。また、連結納税制度も上記の危惧に拍車をかけるので、合わせて歯止め措置をとること。

5.景気回復と市場創造をバックアップする税制のために

  1. 地方税である法人事業税においては付加価値基準の外形標準課税方式の具体化の動きが急速に進んでいるが、このままでは赤字法人をはじめ多くの企業にとって負担能力を超える無理が社会的に発生し、日本経済の活力を削ぐことになるから導入を中止すること。
  2. 応能負担原則をすべての税に貫くこと。とくに法人税は応能負担原則に基づいて累進的多段階の税率――所得1500万円まで15%(資本金1億円未満)、所得5000万円まで25%、所得5億円まで34.5%、所得5億円以上40%――に変更すること。
  3. 基礎控除及び扶養控除を1人あたり70万円に引き上げること。また、現行の配偶者控除及び配偶者特別控除は一本化して、76万円を限度として所得に応じて段階的に控除額を減少させる方式に統一すること。
  4. 固定資産税を地価公示価格に連動させるのではなく、収益還元による評価方式をとること。
  5. 中小企業の事業承継については、1.相続税の基礎控除額を大幅に引き上げること。2.事業用資産については、事業を継承するという条件の下で事業承継猶予制度を設けて10年以上事業を継承した場合一定額を免除すること。3.自社株式評価には収益還元方式による評価方法を導入すること。

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