調査・研究

一時後退するも今後穏やかに前進 人手不足強まる
DOR74号(2006年1−3月期景況調査)速報

 DOR2006年1-3月期調査は、プラス幅を広げてきた中小企業の景気(業況判断、前年同期比DI)が5からマイナス2へと下降を示した。製造業の落ち込みが全体を引き下げたことが大きい。業種間、地域間、規模間でも格差の広がりが顕著である。「2006年前半における景気は持続性も浮揚力も力強さに乏しい」とした前期調査の判断を裏付ける結果となった。しかしこの後退は、次期には再び反転するとみられるので、中期的に見れば緩やかな上昇基調の中での一過性のものととらえるべきであろう。基調は力強さは乏しいが中小企業景気は浮揚傾向である。

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)では、流通・商業のみ10-12月期に△3と水面下で停滞して、他の3業種はプラスを示したが、今期は全く逆に、流通・商業だけが水面に達し0となる一方、他は軒並みマイナスを記録した。すなわち、建設業(1→△8)、製造業(15→△2)、サービス業(12→△4)となった。昨年景気を引っ張ってきた製造業の落ち込みが大きい。地域別では2005年10-12月期、マイナスであった北海道・東北がマイナス幅を縮めたほか、他の地域はマイナスに転化するかプラス幅を縮めた。プラスを維持したのは関東、北陸・中部と近畿の3地域である。しかし4-6月期の見通しでは北海道・東北、九州・沖縄でマイナス値であるものの、全地域で改善が見込まれている。各地域とも今回の景気下降は一過性のものと見なしている。企業規模別では、2005年7-9月期から2期連続して、各企業規模層でプラス値を示してきたが、今期は20人未満規模層のみ△7とマイナスを印した。20人以上50人未満(1)、50人以上100人未満(8)、100人以上(14)と企業規模による格差が明確にあらわれている。4-6月期の予想では、この企業規模別格差を保ちながら全企業規模層でプラスに転じるとみられる。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は、2005年10-12月期の7から0となった。流通・商業で0→2とプラス幅を広げた以外、他の業種では減少が目立ち、建設業、サービス業でともに△4とマイナスとなった。

 経常利益判断DI(「増加」−「減少」割合)は、2005年10-12月期に、1990年の調査開始以来初めて1とプラスを記録したが、今期は△8と再び後退してマイナスとなった。建設業(△19)、製造業(△3)、流通・商業(△7)、サービス業(△7)の全業種で減少割合が増加割合を上回った。

 設備投資は2005年7-9月期から2期連続で35%を超える高水準が続いたが、今期は32.3%と、30%台前半になっている。一方、設備の不足感も16.5%にのぼるなどかつてなく不足感も高まり、次期計画割合は38.5%が予定されるなど、30%台前半は今期だけのようである。設備投資意欲は底堅いものがある。

 人手に関するDIをみると、正規従業員(「増加」−「減少」割合)は製造業を始め昨年から増加傾向が続き、今期は9となった。非正規従業員DI(「増加」−「減少」割合)も14と増加割合が高くなっている。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△20とバブル終焉期に近い割合といえるであろう。

 経営上の問題点では平成不況のただ中では「民間需要の停滞」(98年7-9月期、67.8%)、「販売先からの値下げ要請」(2001年4−6月期、41.0%)と高い比率を示していたが、これらは長期下降傾向にあり、今期はそれぞれ31.2%、17.0%となった。一方、「仕入れ単価の上昇」は24.0%と高止まるとともに、「人件費の増加」「従業員不足」など労働力問題が浮上してきた。

 経営上の力点では、「新規受注(顧客)の確保」(62.5%)、「付加価値の増大」(47.0%)が相変わらず高い比率を示すにとどまらず、「人材確保」が24.0%と高い水準(4業種とも20%以上の比率)となった。さらに「社員教育」は43.3%と調査開始以来初めて40%台を記録した。人を確保して教育することが、中小企業経営にとって緊喫の課題となりつつある。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は4月30日発行のDOR74号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2006年3月5〜15日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,378社より944社の回答をえた(回答率39.7%)
(建設155社、製造業302社、流通・商業315社、サービス業167社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員数   38.5人
臨時・パート・アルバイトの数 29.8人

PDF資料はこちら(PDF 475KB)

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