調査・研究

緩やかに改善しつつも懸念材料も散見
DOR75号(2006年4−6月期景況調査)速報

 DOR2006年4-6月期調査では、業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は若干改善し、1-3月期の△3から△1となった。この改善には製造業の好転が果たした役割が大きい。しかし業種間のみならず地域間、規模間の格差の広がりは著しい。とりわけ関東(東京、千葉、埼玉、神奈川)、東海(岐阜、静岡、愛知、三重)、近畿(大阪、兵庫)の好調さに比べ他地域での低迷ぶりが目立つ。ただし、2002年以降で見るならば中期的には力強さは乏しいとはいえ中小企業景気は緩やかな上昇基調の中にあるが、この間業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)、一人当たり付加価値DI(「増加」-「減少」割合)は3期連続で後退しており、ゼロ金利政策の解除に伴う金利の上昇も懸念されている。したがって、夏以降の下期には緩やかな上昇機運が頓挫する可能性も否定できない。

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)を業種別に見ると、製造業だけが6とプラスに戻ったものの他の3業種(建設、流通・商業、サービス業)はいずれも1桁台とはいえマイナスで低迷している。すなわち、建設業(△8→△9)、製造業(△2→6)、流通・商業(0→△2)、サービス業(△4→△3)となった。地域別では好調な地域はより好調に、悪化している地域はより悪化が強まる傾向となっている。プラスとなった3地域は、関東(3→13)、北陸・中部(2→6)、近畿(0→4)であり大都市圏での好調さは継続している。中国・四国はマイナス幅を縮小させたが(△7→△3)マイナスから脱出したわけではない。北海道・東北(△8→△11)、九州・沖縄(△6→△14)は、前期よりマイナス幅を拡大させている。地域間格差はますます広がっているのである。企業規模別では、1-3月期はマイナス幅を示したのは20人未満だけだったが(△7→△2)、4-6月期は20人以上50人未満(1→△4)が1年ぶりにマイナスに転落した。50人以上100人未満(8→9)、100人以上(14→2)となっているから、50人規模を境に業況判断の明暗がくっきりあらわれている。とはいえ、来期の7-9月期にはいずれの規模もプラスに転じると予想されている。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は、1-3月期の0が今期横ばいで推移した。建設業では△4→△13と大きくマイナス幅を広げたほかはプラスに転化、あるいはプラスを維持している。地域別で見ると北海道・東北(△5→△14)と九州・沖縄(△8→△12)がマイナス2桁台に落ち込んだが、その他の関東(12→15)、北陸・中部(7→12)、近畿(△3→4)、中国・四国(△4→1)はプラス幅を広げるか、マイナスからプラスに転じている。

 経常利益判断DI(「増加」−「減少」割合)は、1-3月期の△8から△5と多少の改善を示した。未だマイナスを脱しきれないのは原油価格の高騰を始め、原材料・仕入れ価格の高止まりによる。仕入単価DIは1-3月期の30→4-6月期は41と大幅に上昇したのはその反映である。

 金融の動向ではゼロ金利政策の解除が目前に迫ったことから、借入金利DI(前期比)は長期・短期ともに上昇を示し、短期は△6→6、長期では△5→9と双方とも2004年4-6月期以来2年ぶりにプラスに転じた。金融機関のゼロ金利解除を先取りした金利のアップが見られるのである。

 設備投資は1-3月期に32.3%と30%台前半におちたが、4-6月期は36.3%と30%台後半に1期で回復した。しかし次期計画割合が33.2%となるだけではなく、設備の過不足感DIも1-3月期の△16から△10と過剰感を縮めるなど設備投資には先行き慎重感が見られる。

 人手に関するDIでは、4-6月期は新入社員が入ったにもかかわらず、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△12と2桁台の不足感を示した。一方、正規従業員DI(「増加」−「減少」割合)は1-3月期の9→6、非正規従業員DI(「増加」−「減少」割合)も14→11と増加ではあるがプラス幅を減少させている。また所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は5→△6と2年半ぶりに減少した。

 経営上の問題点では「仕入単価の上昇」(24.0%→31.9%)と急増して初めて30%の大台を超えるなど、価格問題が浮上してきた。経営上の力点では、「社員教育」が40.9%と1-3月期に続いて40%台を記録した。とりわけサービス業でこの傾向が強い(53.6%)。人材の確保が難しくなりつつある中で現社員への教育が、ますます重要になっている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は7月31日発行のDOR75号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2006年6月5〜15日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,366社より990社の回答をえた(回答率41.8%)
(建設175社、製造業307社、流通・商業345社、サービス業148社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員数   37.2人
臨時・パート・アルバイトの数 30.3人

PDF資料はこちら(PDF 448KB)

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