調査・研究

不況下、中小企業は利益圧縮危機
DOR83号(2008年4〜6月期景況調査)速報

 DOR2008年4-6月期調査では、業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は1-3月期の△22からさらに後退して△30となった。2001年のITバブル不況時に匹敵する水準に達しつつある。サービス業を除くすべての業種でマイナス幅を大きくしているが、中でも建設業(△38→△48)は確認申請の遅延問題に資材高騰が重なり大きく業況は悪化した。その他、製造業△13→△23、流通・商業△23→△31で悪化し、サービス業のみ△23→△20とマイナス数値を若干減らしたが、マイナス幅は今回の製造業並みの悪さであり、好転とはいえない。

 地域別では、近畿(△34→△27)、中国・四国(△25→△22)のほぼ横ばいを除くと、北海道・東北(△29→△37)、関東(△6→△25)、北陸・中部(△22→△32)、九州・沖縄(△19→△37)でマイナス幅を大きくした。これまで比較的順調だった関東の落ち込みが大きい。規模別ではすべての規模でマイナスとなった。これまでプラスであった100人以上規模でも4→△10である。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)においても△14→△18と低下した。建設業では1-3月期をさらに下回り、△40に達した。サービス業では△14→△8と若干の改善をみたものの、その他の業種ではマイナス2ケタ台となっている。規模別では100人以上が9とプラスを保っているものの、100人未満ではすべてマイナスとなり、とりわけ50人未満は大きく低下した。

 経常利益判断DI(「好転」−「悪化」割合)は、建設業の落ち込み(△28→△48)が大きく、製造業も△20→△27と大きく後退を示している。その結果、全業種でも(△22→△28)と2ケタ台のマイナス幅をさらに大きくした。

 こうした全般的な景気後退の背後には、原油の高騰、原材料価格の一斉値上げなど仕入れ価格の高騰がさらに進行したことがある。仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は一層上昇し、前回の68から今回74と過去最高を更新した。なかでも製造業(89)、建設業(75)で極端な上昇をみせ、原材料価格、資材の価格の上昇が製造業・建設業を経営困難に押しやる状況となっている。一方、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は5とプラス幅を広げたが、価格転嫁は今なおなされておらず、仕入単価DIと売上・客単価DIの差はさらに広がる結果となった。仕入単価DIと売上・客単価DIの差は前回の67からさらに広がり69となった。

 この結果、経常利益DI(「好転」−「悪化」割合)が△28と5年ぶりの低水準になっただけでなく、採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)も9と、2002年1−3月期以来の1桁台に低下した。原材料・資材価格の高騰が中小企業の利益を極端に圧迫して、経営危機を呼んでいる。

 金融の動向では急上昇した金利DI(「上昇」−「下降」割合)は、一時期に比べ沈静化しているが、一部業種に貸し控え、あるいは貸し渋りに近い状況が進行しているとの報告もある。労働力については、季節的影響もあり、正規従業員DI(「増加」−「減少」割合)が0、臨時・パート・アルバイトDI(同)が△2と減少してきており、人手過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は4といよいよ過剰感を鮮明にした。設備投資の実施割合は辛うじて30%台を保っているものの、設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)でも△5と過剰感が強まりつつある。

 経営上の問題点では、「仕入単価の上昇」(53.8%)が、「同業者相互の価格競争の激化」(46.4%)を前回に引き続いて超えてトップに立った。原材料、資材の高騰が中小企業経営にとって最大の課題となっている。こうして、中小企業経営にとっては、利益確保が至難となってきている。ビジネス・モデルの再検討・見直しとともに、中小企業を経済の柱とした政策転換が求められる。中小企業憲章、中小企業振興基本条例の制定運動を通して、中小企業家の声を政策に反映させることが重要である。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2008年7月31日発行のDOR83号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2008年6月5〜15日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,378社より1,007社の回答をえた(回答率42.4%)
(建設186社、製造業313社、流通・商業332社、サービス業172社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数39.3人
臨時・パート・アルバイトの数33.2人

PDF資料はこちら(PDF 423KB)

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