調査・研究

新型複合不況で中小企業、存亡の危機に
DOR84号(2008年7〜9月期景況調査)速報

 今期は全業種、全地域、全規模で悪化が進み、本格的不況に突入したことが示される結果となっている。しかも調査票の回収はリーマン・ショックの前に到着したものが多く、事態は結果数値よりもさらに厳しくなっているとみなければならない。こうした全般的な景気後退の背後には、原油の高騰、原材料・仕入価格の高騰に加え、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的金融不安、これらをみた上での消費減退がある。こうしたなかで中小企業経営は存続それ自体が危うくなってきている。経営維持のための早急な対策とともに、中小企業の経営を守るための支援策が求められる。

 中小企業の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は4-6月期の△30からさらに後退し△33となった。業種別にみると、前期△48まで落ち込んだ建設業が△46と底を這うように推移し、製造業△23→△27、流通・商業△31→△37、サービス業△20→△27とその他の業種で悪化が進んだ。業況水準DI(「良い」―「悪い」割合)も△33→△37と後退し、建設業で△49→△55、製造業で△28→△30、流通・商業で△34→△41、サービス業で△20→△24と全ての業種で悪化が進んだ。

 地域別では、北海道・東北(△37→△33)、九州・沖縄(△37→△32)がひき続きマイナス30台にとどまり、今回さらに関東(△25→△31)、北陸・中部(△32→△36)、近畿(△27→△33)、中国・四国(△22→△36)で悪化が進み、全地域でマイナス30台となった。これは2001から2002年にかけての景気後退期にもみられなかったことであり、今回の景気後退が前回以上に深刻なものであることが分かる。また、規模別ではこの間100人以上が比較的良く、100人未満で悪くなっていたが、今期は100人以上でも△10→△37と急激に後退し、すべての規模において悪化が進んできたことが分かる。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△18→△18と低位置であるが横ばいで推移し、売り上げ減を食い止めようとする努力が伺える。建設業で△40→△32と僅かな回復を示したが、サービス業では逆に△8→△18と大幅な落ち込みとなった。地域別では関東△11→△16、北陸・中部△18→△22、中国・四国△11→△19とこの間比較的落ち込みの少なかった地域での落ち込みが目立つ。規模別ではこれまでプラスを保ってきた100人以上が9→△11とついにマイナスへと突入した。

 経常利益判断DI(「好転」−「悪化」割合)は、建設業の落ち込み(△48→△50)が大きく、また流通・商業△25→△34、サービス業の△14→△24でも大きく後退した。その結果、全業種でも(△28→△33)と1999年1〜3月期以来のマイナス30台の水準にまで落ち込んだ。

 仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は、前回の74を若干上回り75となった。なかでも製造業、建設業は共に85と異常な高さにあり、原材料・資材価格の上昇は未だ沈静化の気配がない。一方、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は5→4と若干下回り、その結果、仕入単価DIと売上・客単価DIの差は71とさらに広がり、調査開始以来最高値を更新するところとなっている。

 経営存立の重要な指標である採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)は、この間30→14→9と急激に低下してきた流れが止まらず、ついに今期3となりいよいよ水面下を伺うところまできた。売り上げが伸びない中、ぎりぎりの努力で黒字を保ってきた経営が危機的状況を迎えてきていることが分かる。

 金融の動向では借入難度DI(「困難」−「容易」割合)が、金融機関の貸し出し態度が厳しくなってきていることを伺わせる動きとなっている。一部業種では貸し渋り状況が進行しているとも伝えられる。労働力については、正規、臨時・パート・アルバイト、所定外時間ともDI値がマイナスに転じ、事業活動が縮小してきていることが分かる。人手過不足感、設備の過不足感ともに過剰感が強まりつつある。

 経営上の問題点では、「仕入単価の上昇」(50.7%)、「同業者相互の価格競争の激化」(46.8%)、「民間需要の停滞」(46.6%)が上位で際だっている。価格問題に加え、需要減が一層進行してきていることが分かる。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2008年10月31日発行のDOR84号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2008年9月5〜15 日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,374社より1,008社の回答をえた(回答率42.5%)
(建設176社、製造業340社、流通・商業310社、サービス業174社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数37.3人
臨時・パート・アルバイトの数33.3人

PDF資料はこちら(PDF 419KB)

このページの先頭にもどる

携帯用二次元バーコード
携帯対応について

更新情報RSS