調査・研究

世界同時不況・受注止めの中、経営崩壊の危機
DOR85号(2008年10〜12月期景況調査)速報

 2008年10〜12月期は、新型複合不況の中一層の景気後退を招いているが、その後退のスピードは97年危機を超え、バブル崩壊時に迫っている。世界的にはアメリカ型市場原理至上主義経済が崩壊し、これが世界同時不況を呼んでいる。一方日本では輸出主導型の経済構造が行き詰まり,構造転換が求められている。こうした未曾有の経済危機は中小企業にとっても大きな影響を及ぼしている。事態を単に循環的不況ととらえるのではなく、産業構造の転換の時期が到来したものと認識し、長期にわたる経営戦略の立て直しが求められている。多くの中小企業が経営崩壊の危機にさらされており、経営維持のための早急な対策・支援策が求められている。

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は7-9月期の△33からさらに後退し△49にまで下がった。マイナス40台というのは実に10年ぶりの水準である。業種別では、建設業で△46→△44と底這い状態が続く一方、製造業△27→△55、流通・商業△37→△49、サービス業△27→△41と各業種での悪化が進んだ。特に景気を牽引してきた製造業の後退が大きく、むしろ景気の悪化を牽引する側になっている。業況水準DI(「良い」―「悪い」割合)も全体で△37→△46と後退し、建設業で△55→△41、製造業で△30→△49、流通・商業で△41→△50、サービス業で△24→△37と建設業以外の業種での悪化が進んだ。

 地域別業況判断DIでも、北海道・東北(△33→△41)、関東(△31→△46)、北陸・中部(△36→△55)、近畿(△33→△55)、中国・四国(△36→△50)、九州・沖縄(△32→△42)と全地域で悪化が進んだ。特にこの間リーディング産業が景気を牽引してきた北陸・中部で落ち込みが激しく、前期より19ポイントの下落である。前期は全地域でマイナス30台であったが、今回はさらに悪化し、マイナス40台から50台にまで落ち込んだ。全地域でマイナス40台以下となったのはDOR調査開始以来初めてのことである。また、規模別でも、すべての規模においてマイナス40台以下となり、深刻な悪化が進んできたことが分かる。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△18→△38と20ポイント減少し、必死で売り上げ減を食い止めようとする努力も瓦解したように見える。特に製造業で受注が止まり前期に比べ一気に33ポイント減少し△46となったことが大きい。これが製造業の業況悪化の大きな要因となっている。地域別では関東△16→△40、北陸・中部△22→△46、近畿△17→△44と大都市を抱える地域での落ち込みが目立つ。規模別では20人以上50人未満(△16→△42)、50人以上100人未満(△11→△35)で落ち込みが激しい。

 経常利益判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△33→△44と落ち込んだ。とりわけ、製造業(△27→△49)、流通・商業(△34→△41)、サービス業(△24→△37)の後退が大きい。その結果、採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)においては、3→△1と10年ぶりにマイナスに突入した。

 仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は、75→45と下降が進んできた。しかし上昇に向かっていた売上・客単価も4→△17と一気に下降し、仕入単価DIと売上・客単価DIの差は未だ62ポイントある。

 雇用面でも、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)△1→△6、臨時・パート・アルバイト数DI△6→△10、所定外労働時間△17→△22と、いずれも一斉に減少に向かった。10〜12月期は繁忙期となり雇用や残業が増える時期であるが、そうした効果も今期に限っては現れていない。

 金融の動向では売上の急減から運転資金需要が借入金を増やしつつある。そうした中、借入難度DI(「困難」−「容易」割合)が上昇を始め、借入金利が下がりつつある中でも金融機関の貸し出し態度が徐々に厳しくなってきている。資金繰りDI(「余裕あり」−「窮屈」割合)においてはすべての業種で窮屈感が増している。

 経営上の問題点では、「民間需要の停滞」が急増して、59.2%と最も高くなった。一層の景気停滞、売上減少が進むと、資金繰りがつかなくなり黒字倒産が発生するという事態も予想される。景気悪化のスピードに見合う対策が望まれる。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2009年1月31日発行のDOR85号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2008年10月5〜10 日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,453社より1,045社の回答をえた(回答率42.6%)
(建設175社、製造業327社、流通・商業347社、サービス業186社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数37.8人
臨時・パート・アルバイトの数29.7人

PDF資料はこちら(PDF 340KB)

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