調査・研究

バブル崩壊後不況を超える最悪の業況悪化
DOR86号(2009年1〜3月期景況調査)速報

 金融依存のアメリカ型市場原理経済の崩壊から始まった、世界同時不況が日本経済を直撃している。日本の輸出主導型経済構造とそれを推進した政策が行き詰まり、家電、自動車などリーディング産業が軒並み急速にダウンしている。この「100年に1度」ともいわれる経済危機は中小企業にとっても大きな影響を及ぼしているが、これを循環的不況とみるだけでなく、産業構造の危機とその悲惨な結果と認識し、中小企業には長期にわたる経営戦略の立て直しが迫られている。極端に悪化した中小企業の景況から、被害を最小限に食い止めるために、国及び自治体の早急な財政出動を含む緊急金融・産業対策及び支援策が必要となっている。

 2009年1-3月期の判断DI(「好転」−「悪化」割合)は前期より10ポイント悪化し△59となった。バブル崩壊不況時の1993年1〜3月期の△53を超える業況の悪化である。業種別では、建設業で△43→△48、製造業△55→△67、流通・商業△49→△63、サービス業△41→△48と各業種で悪化が進み、特に製造業、流通・商業では調査開始以来20年間で始めてマイナス60台に及んだ。今期は昨年前半まで景気を牽引してきた製造業の後退の影響が大きい。業況水準DI(「良い」―「悪い」割合)も全業種で△46→△62と後退し、建設業で△41→△61、製造業で△49→△69、流通・商業で△50→△63、サービス業で△37→△48と、サービス業(影響が出るには若干時間差がある)以外は軒並みマイナス60台を記録した。悪化が進行している。

 地域別業況判断DIでも、北海道・東北(△41→△48)、関東(△46→△64)、北陸・中部(△55→△65)、近畿(△55→△63)、中国・四国(△50→△57)、九州・沖縄(△42→△53)と全地域で悪化が進んでいる。特に大都市部を抱える関東、北陸・中部、近畿で落ち込みが著しい。今期関東が前期より18ポイント悪化したことが大きい。これまで悪化が目立っていた東北・北海道、九州・沖縄が相対的に落ち込みが少ない。また、規模別でも、全規模においてマイナス50台を下回り、深刻な悪化がさらに進んでいる。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△38→△53と15ポイント減少した。2008年7〜9月期に比べるとこの半年で35ポイントと急激な減少に見舞われている。特に製造業では△64とほぼ受注ストップに近い状況がうかがえる。売上高の減少が製造業の業況悪化の最大要因となっている。地域別でみても関東△40→△61、北陸・中部△46→△59、近畿△44→△56と大都市を抱える地域での落ち込みが目立つ。規模別では20人未満(△39→△50)20人以上50人未満(△42→△54)、50人以上100人未満(△35→△58)でマイナス50台を記録するなど落ち込みが急激である。

 経常利益判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△44→△53と落ち込んだ。とりわけ、製造業(△49→△60)は売上高の減少による後退が大きい。その結果、採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)が全業種で△1→△24と調査開始以来始めてマイナス20台に突入した。これは黒字企業が36.7%から27.5%に減り、赤字企業が37.1%から51.6%に増えたことによる。

 仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は、45→2と急下降が進んだが、売上・客単価も△17→△35と下降し、仕入単価DIと売上・客単価DIの差は37ポイントと依然小さくない結果となっている。

 雇用面でも、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)△6→△17、臨時・パート・アルバイト数DI△10→△17、所定外労働時間△22→△39、人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」割合)は15→31と、仕事がないことによる労働現場への影響が出始めている。

 金融の動向では売上の急減から運転資金需要が借入金を増やしつつある。長期借入金の増減DI(「増加」−「減少」)は10年ぶりにプラスに転じ9となった。しかし資金繰りDI(「余裕あり」−「窮屈」割合)は△17→△18と徐々に窮屈感が増している。

 経営上の問題点では、「民間需要の停滞」が59.2%から64.5%と高くなった。一方「販売先からの値下げ要求」が15.7%→19.8%へと、需要が減退するなかでの単価値下げという一層厳しい方向にあることを意味している。景気悪化のスピードに見合う早急かつ適切な対策が望まれる。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2009年7月30日発行のDOR87号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2009年3月5〜10 日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,434社より1,077社の回答をえた(回答率44.2%)
(建設183社、製造業341社、流通・商業364社、サービス業183社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数37.3人
臨時・パート・アルバイトの数40.1人

PDF資料はこちら(PDF 376KB)

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