調査・研究

業況の急落止まるも、人手・設備の過剰最悪
DOR87号(2009年4〜6月期景況調査)速報

 2009年は「100年に1度」ともいわれる世界同時不況が日本経済を直撃することから始まり、中小企業の経営を深刻な状況に追いやっている。6月の日銀短観に見られるように大企業の急激な在庫調整が一段落し若干持ち直す様子が出ているものの、中小企業はさらに悪化を見ている。いずれにしても日本の輸出主導型経済構造は大きな転換期を迎え、産業構造自体の転換が求められている。それだけに中小企業には長期にわたる経営戦略の立て直しが迫られている。極端に悪化した中小企業の景況から抜け出すために、独自の経営戦略の再構築とともに、国及び自治体の政策的支援策が求められる。

 2009年4-6期の判断DI(「好転」−「悪化」割合)は前期より3ポイント好転し△56となった。業種別では、建設業で△48→△55と悪化したほか、製造業△67→△63、流通・商業△63→△51、サービス業△48→△48と悪化ないし低位での低迷がみられる。建設業は調査開始以来の最悪値を記録した。全業種で僅かに反転が見られるとしても、景況をリードしてきた製造業がマイナス60台ではさらに景況感は萎む。業況水準DI(「良い」―「悪い」割合)も全業種で△62→△56と下げ止まりを見せ、建設業で△61→△62、製造業で△69→△62、流通・商業で△63→△55、サービス業で△48→△43と、建設業を除きリーマンショック以降の急落は止まったかのようにみえる。

 規模別業況判断DIでは、20人未満(△56→△57)、20人以上50人未満(△58→△57)、50人以上100人未満(△65→△52)、100人以上(△56→△47)と零細規模層で悪化幅が広がっている。地域別では北海道・東北(△48→△46)、関東(△64→△54)、北陸・中部(△65→△64)、近畿(△63→△60)、中国・四国(△57→△48)、九州・沖縄(△53→△58)と九州・沖縄以外では下げ止まりを見せているものの九州・沖縄でさらに悪化を見せている。前期相対的に落ち込みが少なかった九州・沖縄で時間差で悪化が進んでいる。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△53→△55と2ポイント減少した。下げ幅は減少したものの急激な減少からまだ立ち直るまでには至っていない。製造業では△64→△64とほぼ受注ストップ状況は変わらない。売上高の減少が景況感の回復の最大の妨げになっている。規模別では20人未満(△50→△56)、20人以上50人未満(△54→△59)と悪化傾向はさらに続き、50人以上100人未満(△58→△53)、100人以上(△44→△38)で悪化傾向が弱まっている。規模の大きいところからの回復が始まっているようにも見える。地域別では関東△61→△60、中国・四国△52→△44が若干持ち直し、近畿が△56で停滞したほか、北海道・東北△42→△47、北陸・中部△59→△65、九州・沖縄△44→△53と前期を超える落ち込みが目立つ。

 経常利益判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△53→△53と停滞を示した。流通・商業(△54→△47)を除き、他の業種は前期より後退している。その結果、採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)は△24のまま停滞。これは黒字企業が27.5%→27.3%、赤字企業が51.6%→51.4%と変化がなかったことによる。

 仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は、2→△14と急下降が進んだが、売上・客単価も△35→△41と下降し、仕入単価DIと売上・客単価DIの差は27ポイントと依然と大きい。

 雇用面でも、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)△17→△14、臨時・パート・アルバイト数DI△17→△20、所定外労働時間△39→△41、人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」割合)は31→35と、仕事がないことによる労働現場への影響は続いている。

 この間下降を辿っていた設備投資の実施割合は20.9%→24.1%へと上昇した。全ての業種で実施割合は高まったが、第2四半期効果とも見られる。設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は11→14へとさらに過剰感が高まっている。

 経営上の問題点では、「民間需要の停滞」が64.5%→62.2%と6割台をキープ、「同業者相互の価格競争の激化」52.1%→55.3%と問題は深刻化、「取引先の減少」は21.8%→22.7%へと取引先の倒産・廃業の影響も出始めている。景気悪化のスピードに見合う早急かつ適切な対策が望まれる。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2009年7月30日発行のDOR87号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2009年6月5〜10 日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,448社より1,058社の回答をえた(回答率43.2%)
(建設180社、製造業353社、流通・商業331社、サービス業191社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数40.4人
臨時・パート・アルバイトの数33.2人

PDF資料はこちら(PDF 790KB)

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