調査・研究

景況反転するも、いまだ'98年金融危機の最悪期並み
DOR88号(2009年7〜9月期景況調査)速報

 2009年7〜9月期の景況は、業況判断DIで見る限りマイナス幅が縮まりようやく反転の兆しを見せ ている。しかしその水準は依然1998年の金融危機時の最悪期並の悪さである。日本経済は昨年のリー マン・ショックに始まる金融危機下にあり、基幹産業である自動車、家電産業にも影響を及ぼした 恐慌からまだ立ち直るには至っていない。そのため、中小企業の経営は深刻さをさらに増してきて いる。自民・公明党政権から民主党を中心とする政権に替わったものの、経済振興策はまだ見えていな い。補正予算の執行を停止したり、多少なりとも景況のさらなる悪化を止める効果があったばらまき政策 も中止となると、「政権交代もたもた不況」といった事態も想定され、最悪折角反転しつつある景況も二 番底を打つ危険さえ免れない。極端に悪化した中小企業の経営危機を救うためにも、企業独自の経営 戦略の再構築とともに、国及び自治体の待ったなしの政策的支援策が求められる。

 2009年7-9期の判断DI(「好転」−「悪化」割合)は4―6月期に比べ7ポイント好転し△49となった。業種別では、製造業で△63→△65と悪化したほか、建設業△55→△41、流通・商業△51→△42、サービス業△48→△40と低位ではあるものの悪化幅の下げ止まりがみられる。製造業の再悪化が気になるところである。全業種でみて反転が見られるとしても、景況をリードしてきた製造業でマイナス60台と再悪化を見せるのであれば景況感は萎ぼまざるを得ない。業況水準DI(「良い」―「悪い」割合)も全業種でみて△56→△48とマイナス幅の縮小を見せ、建設業で△62→△50、製造業で△62→△57、流通・商業で△55→△45、サービス業で△43→△35と製造業を除き景況は反転したかのようにみえる。

 規模別業況判断DIでは、20人未満(△57→△49)、20人以上50人未満(△57→△47)、50人以上100人未満(△52→△52)、100人以上(△47→△43)とどの層でも反転の兆しがみられる。地域別では北海道・東北(△46→△34)、関東(△54→△52)、北陸・中部(△64→△66)、近畿(△60→△51)、中国・四国(△48→△48)、九州・沖縄(△58→△36)と北陸・中部の悪化を除けば、概ね反転の兆しがみられる。自動車生産の中心である北陸・中部の悪化が反転の足を引っ張る形となっている。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△55→△49と6ポイント増加した。下げ幅は減少したもののその水準は未だマイナス40台である。製造業では△64→△63とマイナス60台でほぼ受注ストップ状況は変わらない。ここでも製造業の売上高の減少が景況感の回復の最大の妨げになっている。地域別では中国・四国△44→△46が若干の落ち込み、北海道・東北△47→△39、関東△60→△53、北陸・中部△65→△64、近畿が△56→△52、九州・沖縄△53→△35と都市部を離れるほど反転幅は大きい。規模別では100人以上(△38→△47)、50人以上100人未満(△53→△56)で悪化傾向はさらに続き、20人未満(△56→△48)、20人以上50人未満(△59→△46)では悪化傾向が弱まっている。

 採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)は△24→△18となった。全業種で赤字割合が減少しているものの全業種マイナスの側にある。昨年夏前までは建設業を除きマイナスはなかったことからすると、この1年で被った傷は癒えていない。

 仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は、△14→△20と僅かながら下降が進んだが、売上・客単価は△41→△43と一層下降し、競争激化による単価競争がますます激しくなっている。

 雇用面でも、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)△14→△20、臨時・パート・アルバイト数DI△20→△20、所定外労働時間△41→△39、人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」割合)は35→30と、仕事がないことによる労働現場への影響は続いている。正規従業員数DIがマイナス20台になるのは1990年1〜3月期以来のことである。

 設備投資の実施割合は24.1%→23.5%と20%台前半で推移している。設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は14→11へと若干過剰感が弱まっている。

 経営上の問題点では、「民間需要の停滞」が62.2%→63.0%と高い割合を示し、「同業者相互の価格競争の激化」55.3%→57.7%とさらに問題は深刻化、「取引先の減少」は22.7%→23.5%へと取引先の倒産・廃業の影響も出始めている。「販売先からの値下げ要請」は客単価の低下をよび、採算の悪化要因となっている。景気浮揚への適切な対策は待ったなしである。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2009年10月30日発行のDOR88号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2009年9月5〜10 日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,435社より1,033社の回答をえた(回答率42.4%)
(建設163社、製造業337社、流通・商業341社、サービス業189社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数38.7人
臨時・パート・アルバイトの数38.7人

PDF資料はこちら(PDF 595KB)

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