調査・研究

わずかに回復への動き出るも、需要と価格競争はより深刻化
DOR89号(2009年10〜12月期景況調査)速報

 2009年10〜12月期の景況は、業況判断DIで見る限り引き続きマイナス幅が縮まり反転の兆しを見せている。しかしその水準は依然金融危機時の最悪期並である。好転企業が若干増えてはいるものの、悪化企業はなお60%を超え、これまで最も悪かったバブル後最悪期の水準である。基幹産業の自動車、家電産業では立ち直りの気配も多少見せている。だが、輸出頼みのため、国内での需要喚起には至っていない。中小企業にとってはまだ苦難が続いている。一方政権交代後初の予算組みが行われているが、地域経済や中小企業振興のための経済振興策はまだ見えてこない。「政権交代もたもた不況」が現実のものとなる可能性も大である。

 2009年10-12期の判断DI(「好転」−「悪化」割合)は7-9月期に比べ4ポイント好転し△45となった。この間マイナスを牽引してきた製造業では△65→△44と好転したものの、なお悪化企業は6割を超える。昨年のリーマンショックの影響を考慮し前年同期比でなく、業況水準DI(「良い」-「悪い」割合)でみると、全業種では3ポイント好転を見せ△45となった。業種別には、製造業△57→△39で18ポイントと大きく好転し、建設業△50→△52、サービス業△36→△34でも低位ではあるものの好転がみられた。他方、国内需要に影響される卸売業、小売業が中心である流通・商業では△45→△53と再び悪化が進んだ。このことが2010年を予兆するかのように、業況水準の次期見通しDI(2010年1〜3月期)ではさらに悪化が予想され(△45→△54)新年及び新年度の景況は予断を許さない。

 地域別の業況水準DIでは、北海道・東北(△37→△44)、北陸・中部(△54→△59)、中国・四国(△44→△47)が悪化、関東(△49→△48)、近畿(△56→△45)、九州・沖縄(△43→△24)が好転と状況は二分している。業況判断DIで悪化しているのは北海道・東北と九州・沖縄だけであるから、リーマンショックの影響が大であったところとそうでないところの差が現れている。規模別業況水準DIでは、20人未満(△51→△49)、20人以上50人未満(△47→△44)、50人以上100人未満(△39→△40)、100人以上(△36→△40)と変化に差があるものの、20人未満の厳しさが目立つ。業況判断DIでは20人未満と100人以上の規模階層で悪化をみて、まだら模様を示している。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△49→△44と5ポイント増加した。しかし、依然マイナス40を下回る水準である。製造業では△63→△43と大きく20ポイントの改善をみたが、流通・商業では再び悪化(△47→△53)している。地域別では北海道・東北△39→△40が若干の落ち込んだが、その他の地域では対前年同期比では増加している。現状の売上減も対前年同期比でみれば多少の増加しているものの、決してはかばかしい改善といえる水準ではない。

 採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)は△18→4と5期ぶりにプラスとなった。業種別では建設業(△24→△11)が改善を見せつつもいまだ赤字から抜け出せない。他方、製造業(△29→△7)、流通・商業(△12→6)、サービス業(△3→13)ではようやく黒字の側に抜け出している。厳しい環境のなかでも、ぎりぎりの経営努力で採算の改善をしようとしている中小企業経営者の姿が浮かび上がる。

 売上・客単価(「上昇」-「下降」割合)は△43→△50と一層下降し、競争激化による単価競争がますます激しさを増している。仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は、△15→△21と僅かながら下降が進んだ。

 雇用面でも厳しい状況は続いている。正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)△20→△21、臨時・パート・アルバイト数DI△20→△13、所定外労働時間△39→△30、人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」割合)は30→24であった。残業や非正規従業員の雇用調整はある程度進んでいるが、正規従業員はなお減少下にある。仕事がないことによる労働現場への直接的影響は続いている。

 設備投資の実施割合は23.5%→23.7%と変化なく、設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は11→7へとさらに過剰感は弱まっている。

 経営上の問題点では、「民間需要の停滞」が63.0%→64.1%とさらに高まり、「同業者相互の価格競争の激化」57.7%→60.7%、「販売先からの値下げ要請」は20%台の高い水準で推移、需要と価格の問題が深刻化している。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2010年1月30日発行のDOR89号をご覧下さい

[調査要領]
調査時   2009年12月5〜10日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,433社より927社の回答をえた(回答率38.1%)
(建設168社、製造業306社、流通・商業295社、サービス業155社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数40.4人
臨時・パート・アルバイトの数37.3人

PDF資料はこちら(PDF 488KB)

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