調査・研究

景気の底(ボトム)は脱するも、収益は低迷
DOR90号(2010年1〜3月期景況調査)速報

  2010年1〜3月期の景況は、業況判断DIで見ると27ポイントと過去最大幅の改善を見せている。 この回復を支えているのは、リーマン・ショック以降景気悪化を牽引してきた製造業の急激な立ち 直りの影響が大きい。しかし業況水準はそれに比べ後れをとり、9ポイントの改善に止まっている。
 売上、採算DIは前年同期比では急反転を見せているものの、売上単価DIの低下は収まり切れ ていない。その結果、リーマン・ショックの最悪期と比べた前年同期比ではいずれの数値も大きく回復 しているが、業況水準DIの改善はわずか9ポイントに止まり、採算水準DIはわずかであっても減少す る事態となっている。収益がともなわない回復といえる。

 2010年1-3期の判断DI(「好転」−「悪化」割合)は2009年10-12月期に比べ27ポイント好転し△18 となった。この間マイナスを牽引してきた製造業では△44→0と好転をリードしている。しかし、業 況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△45→△36とそれほどの改善は見せず、前期比の業況判断 DI(季節調整済み)も△20→△10の範囲に改善は止まる。昨年1−3月期はリーマンショックの影響 がもっとも大きく出た時期だけに前年同期比は大きく改善を見せたものの、いずれも水準も景気下降 期に入った2007年7−9月期の水準に止まっている。業種別には、建設業(△42→△31)、製造業(△ 44→△0)、流通・サービス業(△52→△26)、サービス業(△37→△22)と改善しているように見え る。しかし、業況水準DIでは建設(△45→△36)、製造業(△52→△46)、流通・商業(△53→△38)、 サービス業(△34→△30)といずれも依然マイナス側で低迷している。

 地域別の業況水準DIでは、北海道・東北(△44→△33)、関東(△48→△31)、北陸・中部(△59→ △38)、近畿(△45→△44)、中国・四国(△47→△41)、九州・沖縄(△24→△31)と九州・沖縄のみ 悪化となっているが、他は好転している。東日本での好転幅が大きい。規模別業況水準DIでは、20 人未満(△49→△47)、20人以上50人未満(△44→△37)、50人以上100人未満(△40→△35)、100人 以上(△40→△11)と好転の幅に差があり、100人以上の規模階層での大きな好転ぶりが目立つ。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△44→△19と25ポイント増加した。しかし、これも下降に 向かっていた2008年1−3月期の水準である。製造業(△43→△4)、流通・商業(△53→△25)、サー ビス業(△32→△22)では大きく改善をみたが、建設業(△39→△36)では低迷している。地域別で も東日本で改善ぶりが目立つ。しかし、対前年同期比でみれば多少の増加しているものの、決して はかばかしい改善といえる水準ではない。

 採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)は前期(2009年10−12月期)に5期ぶりにプラスとなったが、 今期4→3と微減している。業種別では建設業(△11→△18)と悪化幅を広げ、製造業(7→1)で 黒字幅を狭めた他は、流通・商業(6→10)、サービス業(13→17)では黒字幅を増加している。ぎ りぎりの経営努力で採算の改善に努力しているものの業種間で開きが出てきている。

 この間下降基調にあった売上・客単価(「上昇」-「下降」割合)は△50→△46、同じ傾向にあった 仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は△21→△7と上昇に転じた。特に仕入単価増は経常利益を 直接左右するだけに予断を許さない。

 雇用面でも厳しい状況はまだ続く。正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)△21→△11、臨時・パ ート・アルバイト数DI△13→△12、所定外労働時間△30→△10、人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」 割合)は24→15であった。人手の過剰感が減ってきても業況や売上に見られるほどの改善を見せ ていないのは人手を増やさず、仕事が増えても残業で調整しているためなのかも知れない。

 設備投資の実施割合は23.7%→23.5%と変化なく、設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合) は7→2へとさらに過剰感は弱まっている。

 経営上の問題点では、「同業者相互の価格競争の激化」60.7%→62.8%と最大の問題になり、同業 者間での価格競争の激化が深刻化している。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2010年4月30日発行のDOR90号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2010年3月5〜15日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数  2,437社より979社の回答をえた(回答率40.2%)
建設167社、製造業328社、流通・商業304社、サービス業175社 )
平均従業員数  役員を含む正規従業員数39.1人
臨時・パート・アルバイトの数35.1人

PDF資料はこちら(PDF 488KB)

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