調査・研究

業況水準の足どり重く、先行き不透明
DOR91号(2010年4〜6月期景況調査)速報

  2010年4〜6月期の景況は、前年同期比の業況判断DIで見ると前回調査に引き続き14ポイント改善を見せ、△4となった。リーマン・ショックの最悪期と比べた前年同期比では業況、売上、経常利益のいずれの数値も改善を見せているが、業況水準のレベルはいまだマイナス30台と回復の足どりは重い。業種別でも改善は製造業を中心に一部業種に限られ、地域別では都市部に限られている。さらに、売上単価の下降は止まらず、仕入単価は材料価格の高騰が響きまたぞろ上昇し始めている。価格問題は深刻化し、収益のともなわない「回復」が続くだけでなく、7〜9月期は回復も停滞との見通しもでている。

 2010年4-6期の判断DI(「好転」−「悪化」割合)は2010年1-3月期に比べ14ポイント好転し△4と水面に近づきつつある。これは製造業が0→13と好転をリードしていることが大きい。しかし、業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△36→△32と4ポイントの改善に留まる。リーマン・ショックの最悪期に近い1年前に比べ前年同期比では売上、業況、経常利益DI(前年同期比)は改善が顕著だが、業況水準DIは遅れをとり、かつてない大きな差となっている。業種別には、建設業(△31→△20)、製造業(△0→13)、流通・サービス業(△26→△12)、サービス業(△22→△9)と改善しているように見える。しかし、業況水準DIでは建設(△46→△47)、製造業(△32→△25)、流通・商業(△38→△36)、サービス業(△30→△23)といずれもマイナス幅は大きく低迷状態が続く。

 地域別の業況判断DIでは、北海道・東北(△16→△13)、関東(△23→0)、北陸・中部(△13→△3)、近畿(△12→9)、中国・四国(△29→△8)、九州・沖縄(△17→△15)と全地域で改善が見られ、とくに関東、近畿が水面上に到達するなど、都市部での好転幅が大きくなっている。規模別業況判断DIでは、20人未満(△27→△11)、20人以上50人未満(△16→△5)、50人以上100人未満(△11→7)、100人以上(△3→15)と好転の幅に差があり、100人以上の規模階層でプラスに転じての好転ぶりが目立つと同時に、規模による格差がはっきり表れた。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△19→△6と13ポイント改善した。これは2007年4−6月期の水準である。建設業(△36→△26)、製造業(△4→11)、流通・商業(△25→△11)、サービス業(△22→△10)と改善をみている。地域別では近畿(△13→5)の改善ぶりが目立つが、北海道・東北(△10→△20)と再悪化している。

 経常利益DI(「増加」-「減少」割合)は△17→△7までの改善を見た。製造業(△2→10)はここでも改善ぶりを牽引する。一方、建設業(△37→△31)は低迷したままの状況が続いている。採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)は3期プラスを続け、今期3→5とプラス幅を増進した。業種別では建設業(△18→△17)、製造業(1→5)、流通・商業(10→17)、サービス業(17→8)と建設業を除きプラスに転化した。

 売上・客単価(「上昇」-「下降」割合)は△46→△34とわずかばかり改善したが、下降傾向はまだ続く。一方、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は△7→10、特に製造業(△2→25)では材料価格の高騰が深刻となってきた。全業種で仕入単価はマイナスからプラス、すなわち上昇傾向に転じたことになる。

 雇用面でも厳しい状況はまだ続く。正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)△11→△1、臨時・パート・アルバイト数DI△12→△7と減少傾向に歯止めがかかったように見えるが、所定外労働時間DI(「増加」-「減少」割合)は△10→△12、人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」割合)は15→20と再び反転の様相を示し、人手の過剰感が再燃しかかっている。

 設備投資の実施割合は23.5%→26.9%と若干増えてきたが、力強さはみられない。ただし、設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は2→2へと過剰感は確実に収束に向かっている。

 経営上の問題点では、最大の問題である「同業者相互の価格競争の激化」62.8%→58.9%とその比率は収まってきているが、「仕入単価の上昇」7.1%→12.6%と問題が深刻化してきた。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2010年7月30日発行のDOR91号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2010年6月5〜15日
対象企業  中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,484社より1,023社の回答をえた(回答率41.2%)
(建設177社、製造業351社、流通・商業307社、サービス業185社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数37.0人
臨時・パート・アルバイトの数40.6人

PDF資料はこちら(PDF 533KB)

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