調査・研究

大震災不況やや改善するも、本格回復は復興政策如何
DOR96号(2011年4〜6月期景況調査)速報

 3月11日に発生した東日本大震災は中小企業景気を直撃した。今回のDOR調査で実施した震災発生から3ヶ月後の影響についてたずねたオプション項目では、「影響がある」が6割、また震災発生直後(1ヶ月以内)と比べて売上高が減った企業は4割にのぼり、影響の広がりと大きさが浮き彫りになった。さらに原材料・仕入単価の上昇や円高も景況悪化に拍車をかけている。一方で、震災前の状態への復帰、復興需要や代替需要の動きがあり、DORの主要指標は次期に向けてやや改善の見通しとなっている。今後の景況が改善するのかあるいは悪化するのかは、政府の復興政策の在り方に依るところが大きい。中小企業憲章の精神に則り、地域と中小企業の声を尊重した復興政策が求められる。

 2011年4〜6月期の回答結果は、業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)は2011年1〜3月期の△3から 18ポイント悪化して△21となった。業種別にみると特に製造業が震災によるサプライチェーン寸断の影響を受けて4→△26へと30ポイント急落。地域別ではこれまで最も景況感の良かった関東圏が45ポイント悪化(14→△31)、一転して最も景況感の悪い地域となった。業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△19→△30と11ポイント悪化した。ここでも製造業の大きな悪化(△13→△31)が目立つ。次期については業況判断DIでは△21→△17、業況水準DIでは△30→△25とやや改善を見込んでいる。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は1→△15と16ポイント悪化した。業種別ではこれまで水面上にあった製造業(5→△20)と流通・商業(2→△9)が水面下に潜った。地域別では北海道・東北が唯一△15→△7と改善したのは防災や復興に関する需要と見られる。その他の地域では、関東(10→△29)、北陸・中部(5→△8)、近畿(9→△20)、中国・四国(△4→△9)、九州・沖縄(△5→△20)と軒並み悪化した。ここでも関東の大きな悪化が目立つ。

 売上・客単価DI(「上昇」-「下降」割合)は△19→△20と深くマイナス側にあって現状を維持した。一方、原材料価格の上昇を受けて仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は22→35と13ポイント上昇となった。これによって売上・客単価DIとの差は41→55と拡大した。仕入単価DIは特に建設業(15→44)で上昇が大きく、採算確保が焦眉の課題となっている。

  設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は△8→△1と過剰の方向へ反転した。雇用面でも、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は2→△1、臨時・パート・アルバイト数DIは3→△2とそれぞれ微減となった。人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」割合)は△5→13と大きく過剰へと反転した。2011年1〜3月期には人手と設備の不足感が表れていただけに、震災が与えたショックは大きい。

 震災発生から3ヶ月後の影響では「影響がある」と答えた企業は59.6%にのぼった。大震災直後(1ヶ月以内)と比べた売上高の増減は「大きく減った」(8.3%)と「減った」(32.7%)を合わせて約4割が売上が減少したと答えた。売上が減った理由として「予約・注文が入らない」が39.0%と最も多く、「被災地に間接の取引先があり取引減少」の23.0%、「被災地に関係なく物資不足」22.0%が続く。需要・供給両面の問題から売上減少に陥った様子が分かる。一方で売上高が増えた企業は15.9%存在している。売上が増えた理由は「復興に関する需要の発生」21.9%、「防災に関する需要の発生」13.2%などであり復興・防災需要の発生が指摘されている。またその他(48.3%)の回答では「イベントの自粛ムードがやや弱まった」、「サプライチェーンが再整備され、本機、部材の供給が従来通りに回復した」など震災前の状況への復旧が進んでいることが確認できる。

 電力使用の制約や原材料・仕入単価の上昇、円高の進行など中小企業景気の障害が存在するが、一方で上記のような事業活動再開に向けた息吹も感じられる。これが力強い動きとなってゆくかどうか復興政策の在り方にかかっている。次期以降の見通しは楽観を許さない。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2011年7月29日発行のDOR96号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2011年6月5〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,449社より1,017社の回答をえた(回答率41.5%)
(建設171社、製造業346社、流通・商業313社、サービス業181社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員数37.4人
臨時・パート・アルバイトの数31.5人

PDF資料はこちら(PDF 288KB)

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