調査・研究

景況は震災前水準へ到達、下期は回復力鈍化
DOR97号(2011年7〜9月期景況調査)速報

 東日本大震災の発生から7ヶ月が経とうとしている。前回調査で3ヶ月時点での影響をたずねたのに続き、今回は6ヶ月時点での影響をたずねた。全体として前回と比べると震災による影響は薄れ震災前の状況に戻りつつある。「影響がある」企業は57.5%から36.6%に減り、今回から設置した「一時あった影響が消えた」は21.5%となった。また震災発生直後(1ヶ月以内)と比べた売上高が「減った」企業は40.3%から26.3%へと14ポイント減少した。一方で売上高が「増えた」企業は15.7%から28.5%へと増加するなど復興需要の発生もうかがえる。自粛ムードが解消され、消費や物が動き出した実感がもたれている。ただし、原発事故による経済活動の阻害、事業再開の目途が立たない多くの企業の存在も見逃せない。さらに円高の進行、世界景気の減速という中で今後の回復見込みは鈍い。

 2011年7〜9月期の回答結果は、業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)は4〜6月期の△21から12ポイント改善して△9となった。業種別にみると建設業が△17→1と18ポイント改善して水面を超えたことが注目される。2005年10〜12月期以来のプラス値である。地域別では北海道・東北が△18→△5で6地域では最もプラス側に近い位置を占めた。被災地を中心とした復興需要の発生が反映している。業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△30→△15と15ポイント改善した。なお深くマイナス側にあるが、震災前の水準に戻ったことは注目されてよい。しかし次期については業況判断DIでは△9→△5、業況水準DIでは△15→△12と回復力は力強さを欠くと見ている。

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△15→△6と9ポイント改善した。業種別では建設業が△14→0と4業種の中で唯一水面に達した。サービス業は△21→△14と7ポイント回復したものの他の業種と比べてなお深い水面下にある。地域別では北海道・東北(△7→1)と北陸・中部(△8→2)がプラス側に出た。売上面でも復興需要の影響が見て取れる。ただしこれら地域では次期に再びマイナス側に潜ることを予測しており、復興需要の収縮も想定されている。

 経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△18→△12と6ポイント改善したが、業況や売上高に比べると弱い改善である。業種別では建設業が△17→△7と10ポイント改善したが、他の3業種の改善はそれほど強さを欠き、しかもマイナス2ケタ台にとどまっている。収益性に関わる指標を見ると、売上・客単価DI(「上昇」-「下降」割合)は△20→△19とほぼ変化がなく、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は前回より8ポイント低下したものの27と高い水準にある。こうして売上・客単価DIとの差は46と、なお看過できない大きさである。原材料高が収益性を圧迫している。

  設備投資の実施割合は28.1%→30.4%と2008年4〜6月期以来の30%の大台に乗った。設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は△1→△6と不足の方向へ反転している。しかし次期計画割合は24.4%、次々期割合は20.0%と下降傾向にある。景況を見極めながらの慎重な実施姿勢がうかがえる。 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は△1→3、臨時・パート・アルバイト数DIは△2→5とそれぞれ増加となった。人手の過剰感DI(「過剰」−「不足」割合)は13→△1と一気に不足側へ反転した。特に建設業で18→△15と大きく不足に転じている。被災地では復興需要への対応で建設職人が不足しており、その反映が読み取れる。正規従業者規模別で見ると20人未満(13→△5)と100人以上(5→△7)で不足側に転じた。

 経営上の問題点では、「同業者相互の価格競争の激化」(53.5%→56.3%)が「民間需要の停滞」(54.3%→49.7%)を抜いて1位となった。復興需要に絡んだ仕事があっても熾烈な価格競争で収益性確保が難しい状況が意識されている。「従業員の不足」(4.9%→9.9%)も倍増した。

 多くの指標が震災前の数値に回復してきた。しかし次期以降は業況や経常利益の見通しは改善と横ばいが交錯しているなど一路回復とはいえない。むしろこうした鈍い動きの中に、復興特需終了後を見越した経営者の警戒感が滲んでいる。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2011年10月29日発行のDOR97号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2011年9月5〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,399社より956社の回答をえた(回答率39.8%)
(建設152社、製造業329社、流通・商業284社、サービス業183社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員37.0人
臨時・パート・アルバイトの数32.1人

PDF資料はこちら(PDF 383KB)

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