調査・研究

中小企業景気、年初一層の冷え込み
DOR102号(2012年10〜12月期景況調査)速報

 東日本大震災後のボトム以降、改善を続けてきた中小企業景気だが、前期の2012年7〜9月期から後退に入り、今期も主要指標で引き続き後退、再び水面下に入った。特に中国リスクが顕在化した影響を受け、製造業での後退が顕著である。次期はさらに大きな後退を見込んでおり、年初は一層の冷え込みが避けられない。2013年中盤からは新政権の経済政策によるカンフル効果や、消費税率引き上げの駆け込み需要が見込まれる一方、中小企業金融円滑化法終了後の影響、世界の政治・経済環境の変化と競争環境の激化も見込まれ、中小企業の経営環境は一層厳しくなることに注意が必要である。

 前年同期比の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は2→△5、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は5→△4、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は0→△4といずれも後退して水面下に戻った。前期比で足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)も△10→△7と水面下で一進一退である。業況判断DIを業種別に見ると製造業△6→△16、流通・商業1→△4、サービス業17→△4と悪化した一方、建設業だけが2→11と改善した。中国リスクの影響を受けた製造業と、震災復興需要が残る建設業とが対照的な動きである。

  同じく業況判断DIを地域経済圏別に見ると、北海道・東北が1→9、中国・四国が△4→7、九州・沖縄が△6→2と改善した一方、関東が5→△11、北陸・中部が14→△17、近畿が△5→△16と悪化した。地方圏が改善、都市圏が大きく悪化と明暗が分かれている。企業規模別では、20人未満が△1→△3、20人以上50人未満が6→△19、100人以上が5→△13が悪化したが、50人以上100人未満だけが1→6と改善した。次期以降(全業種)は、業況判断DIが△5→△18、売上高DIが△4→△13、経常利益DIが△4→△13とさらなる後退を見込んでいる。業況水準DIでも△7→△23と大きな悪化を見込んでおり、先行き不安感が強くなっている。

 こうした厳しい状況下でも、収益性に関わる採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)で26→33と黒字企業が拡大しており、対象企業の経営努力が反映している。これを業種別にみると建設業は15→36、製造業は18→23、流通・商業は31→40、サービス業44→39であり、サービス業で悪化しているものの全体として堅調である。仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は9→6と下降傾向が一層明らかになっている。しかし売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は△15→△19とマイナス側で再び悪化、次期も△21と上昇を見込めないでいる。採算改善を本格的に実現する上での課題となっている。

 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は3→3と横ばい、臨時・パート・アルバイト数DIは7→6とわずかに減少した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△2→△2と変わらず、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△7→△10と引き続き不足感が増している。

 一方、設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)が△9→△13と不足感が強まった。しかし投資実施割合は30.0%→29.1%と30%を割り込んだ。実施目的では維持補修の回答が目立つ。次期計画も29.8%と大きくは伸びず、先行き不透明感から実施への躊躇が見られる。金融面では、借入金の在りの割合が81.2%と久しぶりに80%を超えた。長期借入金が短期よりも増えており、来年3月の中小企業金融円滑化法終了後への対応とも考えられる。全国の中小企業家同友会が行った調査では、「終了」で自社に影響があると答えたのは20〜30%だったが、小規模企業では大きな影響が予想され、自社だけでなく取引先の資金繰りを含めたリスクに配慮を要する。

 経営上の問題点では「同業者相互の価格競争の激化」が53.8%、「民間需要の停滞」が51.4%と続く。「従業員の不足」、「熟練技術者の確保難」の指摘割合も引き続き増加している。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」(64.7%)と「付加価値の増大」(48.4%)の指摘が多い。同時に「社員教育」(39.9%)の努力が続けられている。

 2013年は国内外において政治的経済的な綱引きの激化が予想され、今後は自社の足元と景気・経営環境をしっかり見つめた経営が一層重要である。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2013年1月31日発行のDOR102号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2012年12月1〜10日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,354社より881社の回答をえた(回答率37.4%)
         (建設151社、製造業297社、流通・商業275社、サービス業153社)
        平均従業員数 役員を含む正規従業員36.4人
        臨時・パート・アルバイトの数27.9人

PDF資料はこちら(PDF 361KB)

このページの先頭にもどる

携帯用二次元バーコード
携帯対応について

更新情報RSS