調査・研究

中小企業の消費増税反動減、谷深し
DOR107号(2014年1〜3月期景況調査)速報

   4月から消費税8%増税が始まった。国民や中小企業にとっては三重苦だ。マクロ見通しでは、.▲戰離潺ス以来の円安で原材料等の仕入価格は高止まり、⇒汁朧幣紊亮要を駆け込み的に先食いして、反動減の谷は深くなり、消費税が5%から8%に引き上げられて購買力を吸い上げられる。「増税後は物価が前年比で4%ほど上がるとの見方が強まっており、所得の目減りは避けられない」(日本経済新聞、3月30日)とすれば、中小企業で多少賃上げの動きが広がっても間に合わないのではないか。1997年の3%から5%の値上げ当時を思い出すと、ボディブローのように効いてくるのが怖い。

 前年同期比の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は17→20、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は19→24、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は6→12とバブル崩壊後最も高い数値となった。足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は14→10と前回、初の大きなプラス水準となったが、2桁を維持。駆け込み効果が鮮明に出たものだが、反動減をどう乗り切るかが課題となろう。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が32→26、製造業が18→16、流通・商業が9→27、サービス業が15→10と、流通・商業のみが大きく伸ばしている。流通・商業が駆け込み需要に強く引っ張られたと見られ、他の業種はピークアウトしている。地域経済圏別では、北海道・東北が6→9、関東が14→28、北陸・中部が22→17、近畿が8→30、中国・四国が22→18、九州・沖縄が28→22と、北海道・東北が1桁で、業況水準DIでも唯一マイナスに振れたことが気になる。企業規模別では20人未満で14→17、20人以上50人未満で18→21、50人以上100人未満で27→22、100人以上で16→25と、変化方向では50人未満でも改善し、ほぼ20台に。業種別、地域別、企業規模別で見ると、全体に改善は維持している。

 次期以降は、業況判断DIが20→△15、売上高DIが24→△5、経常利益DIが12→△10、業況水準DIが10→△20と、全面的な大幅後退の見通し。4-6月期について、アナリスト等の見方は反動減で一致しているが、7-9月期については見方が分かれる。DORのオプション調査によれば、消費税増税分の販売価格への転嫁がほぼできるが7割であった。しかし、取引先はどうか。業種や小規模企業等によっては転嫁できないケースがでてくる。2014年度は消費増税不況となる可能性が強い。

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は47→51と上昇が継続。建設業と製造業が上昇し、次期も高止まりを予想しており、一層のコスト管理が求められる。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は6→10と改善し、製造業が水面上に。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の低下傾向は変わらず。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。ただし、中小企業金融円滑化法で返済猶予を受けてきた中小企業に対して転廃業を促すとの新聞記事も見られ、金融環境が変化する可能性を見ておかなければならない。

 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は13→14、臨時・パート・アルバイト数DIは13→9と高水準を維持した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は13→16と増加し、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△31→△33と不足感がいよいよ鮮明である。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は△15→△20と不足感が続き、投資実施割合は36%→38%とわずかだが過去最高を上回る。投資目的は、能力増強が40%→36%と低下した一方、維持補修が29%→32%と増加したが、それぞれ前回の逆の動きで、ゆれている。投資しない理由で、「資金がない」が16%に達し、これまでの3倍の水準に。危険信号が発せられたがどうなるか。観察が必要である。

 経営上の問題点では「同業者相互の価格競争の激化」が43%。「仕入単価の上昇」が35%と続き、一貫して上昇している。建設業ではトップの数値となった。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」(61%)と「付加価値の増大」(48%)に続き、「社員教育」(42%)の努力が続いている。

 「4月以降は『駆け込み受注』の反動で、売上、受注はゼロに等しくなるだろう。従って、増税にあまり関係のない発注者から受注確保の為の努力(大阪、建設業)」のように、消費増税反動減にいかに対応するのか。経営指針・計画をこまめに見直すことも必要になってこよう。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2014年4月30日発行のDOR107号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2014年3月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,374 社より933社の回答をえた(回答率39.3%)
(建設173社、製造業317社、流通・商業266社、サービス業171社)
        役員を含む正規従業員37.2人
        臨時・パート・アルバイトの数32.6人

PDF資料はこちら(PDF 395KB)

このページの先頭にもどる

携帯用二次元バーコード
携帯対応について

更新情報RSS