調査・研究

消費増税反動減、中小企業の回復は緩慢
DOR108号(2014年4〜6月期景況調査)速報

   消費増税の駆け込み後の反動で、ほとんど全ての指標は急落した。大手企業が新製品の発売や特売セールなどで持ち直す兆しを見せるなか、中小企業は回復に時間がかかりそうだ。経済指標の改善はまだら模様だが、所得・消費に関わる指標の悪化が目立つ。例えば、実質賃金が4月3.4%減、5月3.6%減と賃金アップが消費増税や原材料価格の値上がりによる物価上昇には追いついていないのが実態。また、家計の消費支出が前年同月比で4月4.6%減、5月8.0%減と大きく落ち込んだ。落ち込みは「想定内」ではない。実質所得の悪化が深刻化しており、ボディブローのように効いてくるだろう。

 前年同期比の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は20→△1、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は24→3、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は12→△4といずれも急落した。足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)も10→△8と18ポイント悪化で、消費増税の駆け込み反動が強く現れている。97年の増税直後(1997年4〜6月期)はそれぞれ10ポイント以内の悪化だったが今回は10ポイント後半から20ポイントを超える悪化である。増税の影響は軽微とはいえない。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が26→0、製造業が16→6、流通・商業が27→△9、サービス業が10→△1と軒並み大きく悪化。とくに建設業と流通・商業は駆け込み需要が大きかっただけに反動も大きく出ている。地域経済圏別では、北海道・東北が9→△6、関東が28→8、北陸・中部が17→△6、近畿が30→0、中国・四国が18→△1、九州・沖縄が21→2と大きく悪化し、プラス側に残ったのは関東と九州・沖縄のみである。近畿は30ポイントもの大きな悪化である。企業規模別では20人未満は17→△2、20人以上50人未満は21→△2、50人以上100人未満は22→1、100人以上は25→1とそろって20ポイント水準で悪化した。業種別、地域別、規模別それぞれで全面的な悪化である。

 次期以降は、業況判断DIが△1→6、売上高DIが3→9、経常利益DIが△4→3、業況水準DIが△8→1と持ち直す予想である。しかし従業員5人未満企業は回復しないと見込むなどバラつきがある。また全国の同友会が5月に行った「消費増税影響調査」(回答企業4877社)では半年後(11月)に売上が持ち直す見込みは32%にとどまった。先行きはかなり慎重に見なければならない。

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は51→54と上昇が継続。消費増税と仕入高のダブルパンチである。次期は54→46と下降見込みだがなお高い水準である。その中でも売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は10→13と改善しており経営努力が現れている。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)は「容易」側で水準を維持している。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。

 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は14→14、臨時・パート・アルバイト数DIは9→7と高水準を維持した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は16→0と一気に減少したことが注目される。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△33→△27とやや減少したもののなお不足感が鮮明である。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は△20→△17と不足感が続くが、投資実施割合は38%→31%と減少した。投資目的は、能力増強が36%→39%と微増、維持補修も32%→34%と微増した。この間、双方がジグザグを繰り返して動揺している。投資しない理由で、「資金がない」が16%→8%と減少した一方、「採算の見込みがない」が8%→14%と増加した。現下のコスト圧迫環境を慎重に見定めている様子がうかがえる。

 経営上の問題点では「同業者相互の価格競争の激化」が39%、「仕入単価の上昇」が34%と高い水準である。「従業員の不足」も24%でこの間増加が続いている。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」が60%でトップだが「付加価値の増大」が48→53%と増加している。「社員教育」も43%で社員教育を重視した付加価値増大の努力が続いている。増税につぶされない企業づくりと共に、中小企業と地域経済の声を尊重した経営環境・税制が求められている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2014年7月31日発行のDOR108号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2014年6月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,511社より1,141社の回答をえた(回答率45.4%)
(建設210社、製造業344社、流通・商業343社、サービス業213社)
        役員を含む正規従業員36.7人
        臨時・パート・アルバイトの数30.9人

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