調査・研究

円安・物価高、不況がらみの二重苦、中小企業を直撃
DOR109号(2014年7〜9月期景況調査)速報

 不況であるにも関わらず物価が上がり続ける状態のことをスタグフレーションという。1ドル110円近辺への円安の進行は中小企業経営にとって不況がらみの二重苦だ。ガソリン、電気料金をはじめとするエネルギーや食料品、原材料等の価格が高騰。消費税増税と合わせた物価上昇は賃金アップ分を大幅に上回り、庶民と中小企業を直撃している。とくに地方で目立ち、県庁所在地のうち福島市や岐阜市など7市は7月の物価指数が前年比4%以上の伸びとなった。7〜9月期は、V字型回復を予想する向きも多かったが、実際はL字型に近い形で推移する可能性が高い。景気後退の恐れもぬぐえない。

 前年同期比の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△1→△5、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は3→4、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△4→△5と低下あるいは横ばいである。足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△8→△6と若干のプラス。9月実施の「消費増税影響調査」(回答企業3659社)によれば、4 月以降の原材料価格の上昇は「3〜5%上昇」30%、「5〜10%上昇」26%、「10%超上昇」6%と、合計62%が増税分以上の上昇に直面し、利益が圧迫されている。特に繊維・木材、鉄鋼・非鉄金属、運輸などの業種で深刻な状況にある。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が0→△1、製造業が6→△4、流通・商業が△9→△12、サービス業が△1→1とサービス業を除き悪化。製造業が大きかった。地域経済圏別では、北海道・東北が△6→△15、関東が8→△6、北陸・中部が△6→△2、近畿が0→△10、中国・四国が△1→△3、九州・沖縄が2→4とプラス側に残ったのは九州・沖縄のみで、特に関東と近畿が低下は激しい。企業規模別では20人未満は△2→△10、20人以上50人未満は△2→△5、50人以上100人未満は1→△1、100人以上は1→14と大きさで業績が分かれた。特に、100人以上層で良く、消費税引き上げの影響は軽微である。

 次期以降は、業況判断DIが△5→△2、売上高DIが4→4、経常利益DIが△5→△5、業況水準DIが△6→△2と持ち直すか横ばいである。業況判断DIの見通しを4〜6月期の段階で、7〜9月期が6、10〜12月期が7と読んでV字型回復軌道を描いたが、実際は7〜9月期が△5であり、真逆の結果となった。このマイナス傾向は、10〜12月期が△2、2015年1〜3月期が△8と予測しており、L字型に推移する可能性が強い。

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は54→54と継続。次期は54→43と下降見込みだがなお高い水準である。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は13→11と改善しており経営努力が現れている。価格差は縮まる見通し。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)は「容易」側で水準を維持している。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)は1.5%でかろうじてプラス側(余裕有り)を維持している。

 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は14→14、臨時・パート・アルバイト数DIは7→7と横ばい。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は0→1。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△27→△32と強まった。とくに建設業で強まる。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は△17→△15と不足感が続くが、投資実施割合は31%→32%と微増した。投資目的は、能力増強が39%→39%と横ばい、維持補修は34%→29%と減少した。投資しない理由で、「資金がない」が8%→9%と減少した一方、「採算の見込みがない」が14%→12%と減少した。数値から見る限り、まだ設備投資は本格化しない。

 経営上の問題点では「同業者相互の価格競争の激化」が38%。「民間需要の停滞」(33%)が「仕入単価の上昇」が32%を抜いた。「従業員の不足」(24%)と「税負担の増加」(13%)でこの間増加が続いている。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」が61%でトップだが「付加価値の増大」が51%となった。「人材確保」が31%と30%台に達した。「社員教育」も42%で社員教育を重視した付加価値増大の努力が続いている。

 「相次いで同業者の廃業が出、その分の一部が自社に回ってきて売上は増えている。けれど市場縮小の結果であり決して喜ばしいことではない。業界内他分野に進出し複合のサービスでシェア拡大を目指す」(大阪、塗装製造販売)。経営環境の変化に即応できる経営体質の確立が大切になっている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2014年10月30日発行のDOR109号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2014年9月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,503社より1,123社の回答をえた(回答率44.9%)
(建設209社、製造業338社、流通・商業350社、サービス業218社)
        役員を含む正規従業員37.30人
        臨時・パート・アルバイトの数35.58人

PDF資料はこちら(PDF 703KB)

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