調査・研究

かすかな上昇感でるも、多様な格差広がる
DOR112号(2015年4〜6月期景況調査)速報

業種間・企業規模間・地域間での格差広がる

 足下の業況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△6→△2 と改善、直近の実績を示す採算水準DI(「黒字」−「赤字」割合)も30→34 と改善した。消費増税後に続いた落込みから今期はかすかな上昇感が見られる。しかし、業種・地域・規模によって状況はまちまちである。業況水準DI を業種別に見ると、流通・商業のみが大幅に改善、地域別では北海道・東北や近畿が改善する一方で関東や九州・沖縄は悪化。規模別では100 人以上だけが大きく改善し、20 人未満と30 ポイント近い差が開いている。この多様な格差の広がりから、全体として上昇に向う力強さは見出せない。次期についても△2→△2(業況水準DI)の横ばい予想で、多くの経営者は景気先行きを楽観しておらず「消費増税不況」の収束とはいえない。さらにギリシャや中国をめぐる市場の混乱が広がれば国内の中小企業景気にも影響を与えかねず先行きの不透明感は強い。

 業況水準DI を業種別に見ると建設業が△1→△2、製造業が△7→△7、流通・商業が△12→3、サービス業が△2→1 と、流通・商業のみ大きく改善して他はほぼ現状維持である。企業規模別では20 人未満が△15→△9、20 人以上50 人未満が△1→△1、50 人以上100 人未満が5→7、100 人以上が13→19 と100人以上での改善が進む一方、20 人未満はなお深いマイナス水準である。地域経済圏別では北海道・東北が△14→△2、関東が△3→△9、北陸・中部が△3→△2、近畿が△21→△4、中国・四国が2→6、九州・沖縄が5→△2 と、改善と悪化が入り乱れた斑模様である。

先行きに慎重さ〜打開に向けた新しい仕事づくりの努力

 前年同期比の指標は、消費増税直後の時期との比較になるため、多くが改善を見た。業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△7→2、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△6→2、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△8→0 であった。しかし次期以降は慎重な見方が強い。業況判断DI は2→2、売上高DI は2→6、経常利益DI は0→1 である。業況水準DI の次期見込みも△2→0 で上昇感は見られない。

 原油安などの影響で仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は42→39と下降傾向にあるが、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は8→7と伸び悩んでいる。引き続き生産性の改善が課題である。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△34→△27と一服し、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は9→12と増加、所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は0→△4と減少した。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△17→△16と不足感が続くものの、実際の設備投資実施割合は31.3%→31.7%と大きな伸びはない。設備投資に対する慎重さは払拭されていない。

 経営上の問題点として「民間需要の停滞」が33.5%→34.4%と増加しており不況感は根強い。一方、「人件費の増加」も22.5%→25.2%と増加した。人材確保のための賃上げ対応で人件費が上昇している可能性がある。経営上の力点として「新規受注(顧客)の確保」と「新事業の展開」が増加している。採用と教育の努力を基礎に、新しい仕事づくりと市場開拓が意識されている。オプション調査でたずねた「仕事づくり」については82.7%が「取り組んでいる・検討している」と答えた。景気を自ら創る中小企業の気概の表れであり、こうした中小企業の努力を後押しする実効ある施策展開が求められている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2015年7月31日発行のDOR112号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2015年6月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,451社より1,077社の回答をえた(回答率43.9%)
(建設185 社、製造業363 社、流通・商業318 社、サービス業204社)
        役員を含む正規従業員38.36人
        臨時・パート・アルバイトの数32.67人

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