調査・研究

明・暗まだら模様、先行き楽観を許さず
DOR113号(2015年7〜9月期景況調査)速報

業種・地域・規模ごとに差が広がる

 足下の業況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△2→2と改善した。2期連続の改善であり、消費増税不況から脱する動きがある。しかし「販売価格が今後下がるとみる企業が増えており、脱デフレの動きにブレーキがかかる可能性が出てきた(日本経済新聞10月2日付)」とあるようにデフレ脱却は見えないうえ、世界経済の減速をうけて8月には日経平均株価が2万円台から1万7千円台へと急落するなど景気は明らかに影が差している。製造業の景況感が低迷するなど、業種ごとのバラつきも大きい。したがって景気が回復基調にあるとは言い難く、先行き不透明感が拭えない。

 業況水準DIを業種別に見ると、建設業が△2→15、サービス業が1→9と大きく改善する一方、製造業が△7→△10、流通・商業は3→2と悪化した。製造業では金属製品製造業、機械器具製造業での低迷が響いている。地域別では近畿が△4→△18と大幅に悪化した。他の地域はほとんどが改善しているのと比べて特異な動きを示している。規模別では20人未満と20人以上50人未満で改善した一方、50人以上100人未満、100人以上は悪化した。このように業種・地域・規模ごとにまだら模様が広がっており、全体として力強く回復に向かう傾向は見えない。次期の業況水準DIは2→6と改善を見込んでいるが、世界経済の不透明感の強まりが中小企業景気にどのように影響するか、さらに注視が必要である。

次期は横ばい予想、人手不足もネックに

 前年同期比の指標は、消費増税不況が本格化した時期との比較になるため改善の傾向がある。業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は2→4、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は2→7、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は0→4 であった。次期以降は回復傾向が弱まる。業況判断DIは 4→4、売上高DIは7→6、経常利益DIは4→4を見込んでいる。のきなみ横ばいである。

 原油など原材料価格の低下を反映して仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は 39→30 と下降傾向にあるが、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は 7→5と若干の悪化である。デフレ圧力はなお払拭されていない。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△27→△33 となり、人手不足感が強まっている。特にサービス業と建設業が強い不足感を示している。正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は 12→9 と減少、所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△4→△3 と微増した。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△16→△17 と不足感が続く。実際の設備投資実施割合は31.7%→33.4%とわずかに伸びたが、実施目的は「維持補修」が割合を高めている。

 経営上の問題点は「同業者相互の価格競争」と「民間需要の停滞」の指摘割合が引き続き多いが、一方で「従業員の不足」の増加が続いている。今期は22.7%→26.9%となり「仕入単価の上昇」(21.6%)を上回った。特にサービス業で多い。経営上の力点は「新規受注(顧客)の確保」と「付加価値の増大」が多く、「人材確保」も増加している。人材確保の課題が大きくなるなか、採用と教育の努力とあわせて、市場開拓・付加価値向上が追求されている。同友会型企業づくりの真価が問われている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2015年10月31日発行のDOR113号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2015年9月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,446社より1,030社の回答をえた(回答数42.1%)
(建設180社、製造業332社、流通・商業307社、サービス業199社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員37.44人
       臨時・パート・アルバイトの数27.66人

PDF資料はこちら(PDF482KB)

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