調査・研究

中小企業、第2次アベノミクス下で景気失速
DOR115号(2016年1〜3月期景況調査)速報

ほぼ全面的な悪化

 前回10-12月期の同友会景況調査報告(DOR)が「経営努力著しいが景況の腰折れか?」と警鐘を鳴らしたことが現実味を帯びてきた。前年同期比の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)が6→△3と9ポイント悪化、足下の業況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は9→△2と11ポイント悪化したのをはじめ、他の指標も軒並みに悪化。業種・地域・企業規模別では一部が持ちこたえているものの、ほぼ全面的に悪化しており中小企業景気は失速している。次期の業況判断DIは△3→△1と2ポイントの持ち直しを見込むが本格的な不況突入の可能性を含めて予断を許さない。消費増税と物価上昇、税や保険料支出の増加がもたらした消費低迷の中、DOR対象企業は懸命の経営努力を続けて景気を支えてきた。しかし第2次アベノミクス下の「好循環」は起こらず、むしろ消費低迷が強まったことで経営の逆風となっている。こうした中での消費税10%再増税は中小企業に深刻な事態を招来しかねない。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が8→△16、製造業が△1→△1、流通・商業が5→△7、サービス業が18→10となっている。製造業は全体では横ばいだが、内容を見るとこの間製造業の景況を支えてきた機械器具製造業が△4→△15と悪化していることが注意を要する。企業規模別では20人未満が4→△5、20人以上50人未満が7→△7、50人以上100人未満が5→△2、100人以上が21→16と、100人以下が水面下に潜り二極化が鮮明である。地域経済圏別では関東だけが横ばいでそれ以外の地域は悪化した。一部の業種・地域・企業規模を残してほぼ全面的な悪化傾向である。

採用と教育の努力さらに強まる

 売上高DI(「増加」−「減少」割合)は3→△1、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は6→1と悪化した。業績を示す採算水準(「黒字」−「赤字」割合)も45→36と悪化した。この間著しく改善してきたがここにきて壁に直面している。次期以降については、売上高DI は△1→1、経常利益DIは 1→0 であり大きく回復する予想はない。次期以降に対する危機感が現れている。

 原油など原材料価格の低下を反映して仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は20→9と下降傾向が鮮明になる一方、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は5→2と下降した。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△37→△38となり、高い水準で不足感が続いている。サービス業、建設業で特に強い。正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は10→9とほぼ横ばい、非正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は7→6、所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は3→1と微減となった。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△16→△18 と不足感が続く。実際の設備投資実施割合は33.9%→31.8%と微減した。

 前期比の短期資金の借入金利(「上昇」−「低下」割合)は△17→△31、長期資金の借入金利(同)は△21→△30とそれぞれ低下傾向が強まった。

 経営上の問題点は「同業者相互の価格競争の激化」と「民間需要の停滞」が増加して不況感を反映している。「従業員の不足」も高い水準が続いている。経営上の力点は「新規受注(顧客)の確保」と「付加価値の増大」が多い一方、「人材確保」と「社員教育」が増加している。特に「社員教育」は43.8%→48.1%に増えている。中小企業景気が岐路に立たされる中、採用と社員教育をさらに強化し、付加価値を高める経営戦略が展開している。景気失速に対向する構えが重要になっている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2016年4月28日発行のDOR115号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2016年3月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,396社より969社の回答をえた(回答数40.4%)
(建設178社、製造業309社、流通・商業298社、サービス業175社)
平均従業員数 役員を含む正規従業員38.89人
       臨時・パート・アルバイトの数36.46人

PDF資料はこちら(PDF669KB)

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