調査・研究

中小企業景気低迷へ、“EUショック”で先行き不安増大
DOR116号(2016年4〜6月期景況調査)速報

水面下で2期連続の悪化

前期1-3月期の同友会景況調査報告(DOR)では「中小企業、第二次アベノミクス下で景気失速」として景気悪化への潮目の変化を指摘したが、今期のDORも悪化が続き中小企業景気は低迷状態に入った。前年同期比の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)が△3→△5と2ポイント悪化、足下の業況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△2→△6と4ポイント悪化するなど水面下で低迷しているのに加え、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△1→△3と低迷、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)も1→△3と水面下に潜った。次期の業況判断DIは△5→△3と2ポイントの持ち直しを見込んでいる。しかし今期は6月20日までの回答がほとんどのため、“EUショック”―英国の欧州連合(EU)離脱や円高進行への反応は織り込まれておらず実際の景況感と先行き見通しはさらに悪いと見られる。先行きの不安定性が増しており、中小企業は非常事態を想定しリスク管理の引き締めが必要である。

業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△16→△6、製造業が△1→△13、流通・商業が△7→△4、サービス業が10→9となっている。製造業の12ポイント悪化が全体の悪化に影響している。中でも2015年末まで景気を支えてきた機械器具製造業で△4→△11と悪化が続いているのが気になる。企業規模別では20人未満が△5→△6、20人以上50人未満が△7→△10、50人以上100人未満が△2→△1、100人以上が16→7と、100人以上規模のみが水面上にあり、規模間の格差が存在する。地域経済圏別では近畿が△1→△10と9ポイント悪化して北海道・東北と同じくマイナス二ケタの水準になった。業種・地域・企業規模によってまだら模様だが、悪化傾向を示すグループが増えている。

非常事態を想定し同友会型企業づくりのさらなる強化を  業績を示す採算水準(「黒字」−「赤字」割合)は36→36と横ばいで高水準を保っている。原油など原材料価格の低下も反映していると見られ仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は 9→8 と一時期と比べて小康状態である。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は 2→△4 と下降した。

正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は 9→15 と増加、臨時・パート・アルイバイト従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は6→2と減少、所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は1→△10 と減少した。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△38→△29 と不足感がやや緩んだ。新年度の採用があり正規従業員数が増え、人手不足感に影響を与えた可能性がある。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△18→△16 と強い不足感が続く。実際の設備投資実施割合は31.8%→32.7%と微増した。前期比の短期資金の借入金利(「上昇」−「低下」割合)は△31→△29、長期資金の借入金利(同)は△30→△31とほぼ横ばいで推移し2016年1−3月期から一段と低金利が進行している。

経営上の問題点は景気低迷を反映して「民間需要の停滞」が増加。特に20人以下規模での指摘割合が多い。「従業員の不足」は30.3%→27.9%と微減した。経営上の力点は「新規受注(顧客)の確保」と「付加価値の増大」が多い一方「人材確保」と「社員教育」の努力も続いている。DORは同友会らしい経営指針の作成と実践が業績指標に顕著な差をもたらすことをオプション調査で指摘してきた。中小企業景気が低迷状態に入り先行きの不安定性が増す中、取り組みの意義がさらに高まっている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2016年7月29日発行のDOR116号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2016年6月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法 郵送により自計記入を求めた
回答企業数 2,384社より1,013社の回答をえた(回答数42.5%)
(建設175社、製造業331社、流通・商業312社、サービス業185社)
       役員を含む正規従業員38.95人
       臨時・パート・アルバイトの数31.91人

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