調査・研究

円安などで一時的な好転あるも、2017年前半の景気は下方屈折の恐れ増す
DOR118号(2016年10〜12月期景況調査)速報

製造業を中心に好転した。前年同期比の業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は金属製品製造業が△19→3、機械器具製造業が△14→11と絶好調で牽引している。好転の要因は円安が考えられるが、災害が多い年であったため、復興に向けた需要が波及していったことが思い浮かぶ。また、2016年11月のアメリカ大統領選挙で、トランプ氏の当選を予想していた人は少ない。トランプ大統領の政策内容は、米国第一主義、自由貿易反対、減税と公共事業の推進、非合法移民の取り締まり強化など。はたして、どのような政策を執るのか。2017年前半の景気は下方屈折の恐れが増している。

業況判断DIは△5→1、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△6→4、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△3→2とすべて好転した。しかし、次期は悪化予想。足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△4→5と、こちらも「良い」の割合が増えたが、次期予想はマイナスである。一過性の景気といえよう。低迷状態は続く見通しである。

業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△11→△1、製造業が△12→0、流通・商業が△3→△3、サービス業が11→14と流通・商業のみが現状維持で、他の業種は好転している。業況水準DIでも流通・商業が△3→△2となり、最近目立つ消費者の節約志向と平仄(ひょうそく)が合う。地域経済圏別では、北海道・東北が△6→△4、関東が△1→4、北陸・中部が△6→△2、近畿が△8→△8、中国・四国が△1→10、九州・沖縄が△5→13と近畿が現状維持で、業況水準DIでも唯一マイナスにあることが気になる。企業規模別では20人未満で△5→2、20人以上50人未満で△11→△3、50人以上100人未満で△1→0、100人以上で17→16と、変化方向ではほぼ全階層で改善。業種別、地域別、企業規模別で見ると、全体的に改善している。

次期(2017年1〜3月期)以降は、業況判断DIが1→△1、売上高DIが4→3、経常利益DIが2→△1、業況水準DIが5→△1と、全面的な後退の見通し。次々期4-6月期の業況判断DIは△2と停滞の見通しになる。

次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が△1→△8、製造業が0→△2、流通・商業が△3→△2、サービス業が14→11と今度も流通・商業が現状維持的になるが、他の業種は悪化している。

採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は7→13と上昇。建設業以外が上昇し、次期も15を予想しており、一層のコスト管理が求められる。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は△3→1と改善した。仕入単価DI−売上・客単価DIの差は10→12で反転拡大した。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の低下傾向は変わらず。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。ただし、返済猶予を受けてきた中小企業のうち6割強が、4年以上たっても経済改善していないことが金融庁の調査で分かった(日本経済新聞、2016年10月26日)。

雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は7→11、臨時・パート・アルバイト数DIは3→7と増加の傾向を示した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△7→1と増加し、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△38→△43と不足感が△40台に乗るなど著しい数値である。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)は△14→△18と不足感が続き、投資実施割合は35%→33%と高水準を保つ。投資目的は、能力増強が47%→52%と急増した一方、維持補修が35%→34%と維持的であり、能力増強の投資の意欲が強まったようだ。投資しない理由で、「当面は修理で切り抜ける」が40%に達している。

経営上の問題点では「従業員の不足」が36%と「同業者相互の価格競争の激化」と並び、人材不足は深刻。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」と「付加価値の増大」に続き、「社員教育」と「人材確保」が43%。サービス業では、「社員教育」と「人材確保」が50%台でトップである。

「3年間で国立大学卒生を3名採用した事で会社全体のモチベーションが向上、機構の効率が向上、生産性の付加価値が増大化し、社内体制も安定化してきました(北海道、建設業)」というように、人材の確保は決定的である。採用と社員教育の計画をこまめに見直すことも必要になっている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2016年10月31日発行のDOR117号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2016年12月1〜7日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法  郵送により自計記入を求めた
回答企業数  2,303 社より960社の回答をえた(回答率41.7%)
   (建設170社、製造業307社、流通・商業290社、サービス業182社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員38.5人
       臨時・パート・アルバイトの数27.7人

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