調査・研究

「好転」と「悪化」の傾向が混在する 足元の景気は花冷え
DOR119号(2017年1〜3月期景況調査)速報

「好転」の指標(業況判断、売上高)と「悪化」の指標(業況水準、採算変化、採算水準、1人当たり売上高、1人当たり付加価値)が、全体でも業種別でも混在する状況である。世界経済の持ち直しで資源価格が再び上昇を始めたところに、トランプ大統領の就任で円安・ドル高の流れが重なった。価格転嫁が難しい中小企業は原材料高の波をかぶり、仕入単価は全業種で13→23、製造業で10→27、製造業の見通しは34まで上がる見込み。4月は価格改訂、値上げの時期でもあり、中小企業にとっては苦悩の時期でもある。足元の景気は「花冷え」のように悪化の傾向を示す可能性がある。

業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は1→3、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は4→5と好転したが、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は2→1、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は5→0と悪化した。方向性にバラバラ感がある。前期は全面的な後退の見通しだったが、予想は半分はずれた。景況判断の「好転」と「悪化」ともに減少し、「横ばい」が増えた模様だ。混迷状態は続く見通しである。

業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△1→6、製造業が0→0、流通・商業が△3→△6、サービス業が14→19と流通・商業のみが悪化している。地域経済圏別では、北海道・東北が△4→△2、関東が4→8、北陸・中部が△2→0、近畿が△8→△10、中国・四国が10→9、九州・沖縄が13→15と近畿と中国・四国が悪化した。近畿の低迷は長い。企業規模別では20人未満で2→3、20人以上50人未満で△3→0、50人以上100人未満で0→6、100人以上で16→10と、変化方向では久々に100人未満でマイナスから脱却し、改善があった。業種別、地域別、企業規模別で見ると、ほぼ改善した模様だ。

次期(2017年4〜6月期)以降は、業況判断DIが3→2、売上高DIが5→7、経常利益DIが1→6、業況水準DIが0→△2と、業況判断DIと業況水準DIが低下する見通しだが、次々期7〜9月期の業況判断DIは3と戻る見通し。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が6→1、製造業が0→△1、流通・商業が△6→0、サービス業が19→10と、流通・商業が好転しているが、他の業種は悪化している。

採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)は13→23と急上昇。サービス業を除く全業種が上昇し、特に製造業が10→27。次期も34を予想しており、コスト管理が必要となる。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は1→4と改善した。仕入単価DI−売上・客単価DIの差は12→19で拡大した。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の低下傾向は変わらず。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。

雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は11→7、臨時・パート・アルバイト数DIは7→5と減少した。一服の傾向か。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)も1→△3と減少。しかし、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△43→△42と不足感が△40台を維持する状態である。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△18→△15と不足感が若干緩むが、投資実施割合は33%→32%と高水準を保つ。投資目的は、能力増強が52%→47%と40台に引いた一方、合理化・省力化が28%→32%と増加し、能力増強とともに合理化・省力化の投資の意欲が強まりつつある。投資しない理由で、「当面は修理で切り抜ける」も41%に達している。

経営上の問題点では「従業員の不足」が38%と指摘割合が最も高くなった。これまでの上位2項目(「価格競争激化」、「民需停滞」:1991年以来いずれかの項目が1位だった)を上回った。また、「熟練技術者の確保難」23%を含め、人材不足は深刻である。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」56%と「付加価値の増大」49%に続き、「社員教育」45%と「人材確保」42%が接近する。サービス業では、「社員教育」50%と「人材確保」が55%で引き続き4業種の中ではトップになった。

「人員不足を早急に解消する必要がある。求人誌、ハローワーク等に手配するも、問い合わせすらない状況で黒字倒産も考えられる状況です(群馬、建設業)」というように、人材の確保の有無は経営にとって致命的なものになる。採用と社員教育の計画を再度見直すことも必要になっている。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2017年4月30日発行のDOR119号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2017年3月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法  郵送により自計記入を求めた
回答企業数  2,309 社より918社の回答をえた(回答率39.8%)
   (建設161社、製造業288社、流通・商業271社、サービス業191社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員37.8人
       臨時・パート・アルバイトの数31.7人

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