調査・研究

中小景気、回復感あれど、定着には至らず
DOR120号(2017年4〜6月期景況調査)速報

 今期、業況判断の指摘割合は、「好転」が微増(27.9→28.8)、「悪化」が微減(25.1→23.8)、「横ばい」が不変(47.1→47.4)で、ごく小さい動きではあるが好転。業況判断DIと業況水準DIともに好転傾向であり、回復感はある。しかし、重要な指標で下落しており、定着には至っていない。採算水準DI(38.4→36.7)、1人当り売上高(3.8→0.5)、1人当り付加価値(0.4→0.1)が、ともに2期連続で下落しているのである。中小企業は原材料高の波をかぶり、仕入単価DIは全業種で23→24と高原状態にあり、特に製造業で27→33、見通しは34まで上がる見込み。しかも、金属製品製造業や機械器具製造業は40台前半に達している。

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は3→5、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は5→7、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は1→5、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は0→1とすべて好転した。前々期は全面的な後退の見通しだったが、現実は異なる様相を見せ始めている。トランプ効果は今のところ「マイナス」には作用していないらしい。梅雨の晴れ間に一条の薄日が差すようなものか。指標のほとんどがマイナス圏を脱している。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が6→△5、製造業が0→4、流通・商業が△6→5、サービス業が19→15と建設業のみがマイナスに悪化。地域経済圏別では、北海道・東北が△2→△2、関東が8→4、北陸・中部が0→3、近畿が△10→2、中国・四国が9→9、九州・沖縄が15→16と関東のみが悪化。企業規模別では、20人未満で3→4、20人以上50人未満で0→3、50人以上100人未満で6→8、100人以上で10→11と、変化方向では全階層で改善。業種別、地域経済圏別、企業規模別では、ほぼ改善した模様である。

 次期(2017年7〜9月期)以降は、業況判断DIが5→6、売上高DIが7→11、経常利益DIが5→8、業況水準DIが1→7と、ここでもすべて好転予想である。次々期10-12月期の業況判断DIも8と好調を維持する見通し。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が△5→3、製造業が4→7、流通・商業が5→6、サービス業が15→6と、サービス業のみが悪化予想である。

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が23→24となったが、特に製造業が27→33まで上昇。次期も34を予想しており、コスト管理が必要となる。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は4→4と変わらず。仕入単価DI−売上・客単価DIの差は19→20となった。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の低下傾向は変わらず。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。

 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は7→15と増加し、臨時・パート・アルバイト数DIは5→5と横ばいであった。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)も△3→△8と減少。しかし、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△42→△34と不足感が一服する状態である。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△15→△13と不足感が若干緩むが、投資実施割合は32%→34%と高水準を保つ。投資目的は、能力増強が47%→44%に引いた一方、合理化・省力化が32%→30%と低下し、能力増強とともに合理化・省力化の投資の意欲は弱まりつつある。投資しない理由で、「当面は修理で切り抜ける」も36%に達している。

 経営上の問題点では「従業員の不足」が33%と指摘割合が一服状態。これまでの上位2項目、「価格競争激化」、「民需停滞」とほぼ並んだ。また、「人件費の増大」が27%を占め、人材不足から来ている賃金上昇が焦点になりつつある。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」56%と「付加価値の増大」50%に続き、「社員教育」45%と「人材確保」40%が接近している。サービス業では、「社員教育」51%と「人材確保」が51%で引き続き4業種の中ではトップになった。

 「はじめて業務の選択と集中を行ない、不採算業務から撤退した。大変勇気と決断力を必要としたが、断行できたのも、同友会において日々学びつづけてきたおかげだと思う(広島、製造業)」というように、社長業は判断の連続である。経営の舵取りを誤らぬように鍛錬しよう。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2017年7月10日発行のDOR120号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2017年6月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法  郵送により自計記入を求めた
回答企業数  2,402 社より963社の回答をえた(回答率40.1%)
   (建設178社、製造業301社、流通・商業286社、サービス業186社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員38.1人
       臨時・パート・アルバイトの数23.4人

PDF資料はこちら(PDF640KB)

このページの先頭にもどる

携帯用二次元バーコード
携帯対応について

更新情報RSS