調査・研究

景況感は好調なれど、人材不足問題が浮上
DOR121号(2017年7〜9月期景況調査)速報

 今期、業況判断の指摘割合は「好転」が上昇(28.8%→31.9%)、「悪化」が下落(23.8%→21.5%)、「横ばい」が微減(47.4%→46.6%)で、好転がはっきりしてきた。業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は5→10、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は7→10、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は5→6、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は1→9と2期続けてすべて好転した。

  しかし、経営上の問題点として「従業員の不足」を挙げる企業が最も多くなった。いよいよ、人材不足問題は経営上の最有力課題となっている。日銀短観の雇用人員判断DIは、中小企業全産業でマイナス32と1992年以来の低水準となった。また、「人件費の増大」が3位に上昇し、人材不足から来ている賃金上昇が焦点なった。だが、「給与を上げても、採用できない(中小)企業が増えている」(日本経済新聞、2017年10月2日)という観測もあり、単に採用問題だけに止めず、人材活用を多角的視点から検討することが重要になっている。

  また、中期的には、北朝鮮問題など海外要因や人材不足問題から不透明感は拭いきれない。経営者の言う「今は良いが、先が読めない」ということだろう。経営者は、先行きは楽観できず、これからの日本が成長していく姿を描けていない。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△5→4、製造業が4→14、流通・商業が5→8、サービス業が15→14と、製造業が好調の波に乗った。地域経済圏別では、北海道・東北が△2→4、関東が4→10、北陸・中部が3→7、近畿が2→16、中国・四国が9→16、九州・沖縄が16→12と全地域でプラスとなった。企業規模別では、20人未満で4→5、20人以上50人未満で3→14、50人以上100人未満で8→17、100人以上で11→14と、20人未満以外では2ケタの伸びとなった。業種別、地域経済圏別、企業規模別で、指標からマイナスがなくなった。

 次期10〜12月期以降は、業況判断DIが10→10、売上高DIが10→12、経常利益DIが6→8、業況水準DIが9→12と、ここでも概ね好転予想である。次々期2018年1〜3月期の業況判断DIも8と好調を維持する見通し。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が4→6、製造業が14→9、流通・商業が8→13、サービス業が14→12と、製造業を除いてほぼ好調をキープする予測である。

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が24→24となったが、特に製造業が33→32で引き続き高原状態にある。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は4→6と少し上昇したため、仕入単価DI−売上・客単価DIの差は20→18となり、やや余裕が生まれた。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の低下傾向は変わらず。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。

 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は15→12と減少、臨時・パート・アルバイト数DIは5→6とほぼ横ばいであった。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)も△8→△4と増加。しかし、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△34→△47と再び不足感が強まっている。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)も△13→△19と不足感が強まった。投資実施割合は34%→34%と現状維持。投資目的は能力増強が44%→46%と高まり、景況の好調ぶりの現れか。一方で、投資しない理由として「当面は修理で切り抜ける」が40%に達しており、経営者の先行き不安感が反映されているようだ。

  経営上の問題点では「従業員の不足」が33%→40%とさらに厳しくなり、これまでの上位2項目、「価格競争激化」、「民需停滞」を抜かして1位となった。また、「人件費の増大」が30%を占め、人材不足から来ている賃金上昇が焦点になりつつある。経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」54%と「付加価値の増大」48%に続き、「社員教育」45%と「人材確保」44%が接近している。サービス業では、「社員教育」51%と「人材確保」が56%となる、引き続き4業種の中ではトップになった。

 「今後、益々人材確保が困難になる事が予想され、場合によっては人材難倒産もあるので、現在の内部留保を使って、人材だけは確保しておこうと思う(福岡、サービス業)」。働き方改革も含め、いま管理コスト等がかかっても、職場環境改革の努力は経営者の本分である。

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2017年10月31日発行のDOR121号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2017年9月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法  郵送により自計記入を求めた
回答企業数   2,379社より1,002社の回答をえた(回答率40%)
   (建設172社、製造業319社、流通・商業302社、サービス業200社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員38.58人
       臨時・パート・アルバイトの数29.98人

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