調査・研究

予測通り景気低落、次期への期待あれど
トランプリスクの懸念のこる
DOR124号(2018年1〜3月期景況調査)速報

景気低落は的中!次期への期待は抱けど、トランプ大統領の保護主義政策への懸念はのこる

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は13→3、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は13→4、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は11→△1、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は18→10と、その落差が12〜8ですべてが悪化した。この落差は水準を画するものである。2017年に上がってきた勢いが、2018年の声を聴くとガクンと下がった感じである。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が13→△1、製造業が15→4、流通・商業が8→2、サービス業が20→6と、流通・商業以外は2桁の下落である。地域経済圏別では、北海道・東北が△3→△12、関東が13→9、北陸・中部が17→2、近畿が17→4、中国・四国が23→16、九州・沖縄が13→△1と全地域でマイナス。企業規模別では、20人未満で12→1、20人以上50人未満で17→4、50人以上100人未満で10→3、100人以上で15→10と、全企業規模でマイナスであった。

 次期(2018年4〜6月期)以降は、業況判断DIが3→8、売上高DIが4→10、経常利益DIが△1→5、業況水準DIが10→12と、すべてが一定押し返す予想である。次々期7-9月期の業況判断DIも9と戻す見通し。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が△1→5、製造業が4→14、流通・商業が2→1、サービス業が6→12と、流通・商業以外はまだ押し戻す勢いが一定あるようだ。なぜ、押し返す力があるのか。例えば、製造業の受注残は5→5で横ばいであり、受注の確保が強さの根拠のようである。

 次期の見通しの押し戻す勢いがある回答は、DORの調査時期も関係があるのではないだろうか。回答時期は3月1〜15日であるが、3月1日は米国が鉄鋼25%、アルミ10%の高関税を課すと発表した日だが、日本も対象になるとわかったのは3月23日である。また、3月7日に南北首脳会談、3月8日が米朝首脳会談の発表と続く。回答時期と世界的行事の発表が重なる。まだ、発表の段階であり、DORの回答が素早く反応することは無理であろう。政治経済的な活動領域には無数の予測不能な副作用が埋め込まれているし、一つの問題を解決するために政治が何かをすれば、それが遅かれ早かれ別の新しい問題を生み出す。いずれにせよ、米中貿易戦争などの不安定要因は拭いきれない。

仕入単価が急激に上昇!価格改定の交渉は明るく道理をもって交渉し、早期決着をめざそう

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が32→38となったが、特に製造業が41→51で引き続き上昇気運にある。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は10→8と少し下降したため、仕入単価DI−売上・客単価DIの差は22→30となり、拡大した。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の低下傾向は変わらず。資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。

 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は11→8と減少。臨時・パート・アルバイト数DIは12→4と減少し、人材不足の中にあり、正規従業員で手当てできない分をパート・アルバイトでも補えない。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)も△1→△5と減少。また、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△47→△48とわずかながら不足が増えて高水準であった。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△19→△21と不足が増えた。

 経営上の問題点では「従業員の不足」が43%→40%と若干減ったものの、3期連続で1位となった。また、「人件費の増大」が28%→32%、「仕入単価の上昇」が20%→25%に上がったのが目に付く。特に製造業では、「仕入単価の上昇」が27%→38%に上昇している。

 会員からは仕入単価が急激に上昇してきているので顧客との価格改定交渉に忙しいとの声も。「仕入れ単価上昇にともない、客先への価格改定中だが難航している。受注量の確保をしつつ引き続き交渉して早期決着をめざす(愛知、ダンボール製造)」。経営者の仕事の一つに価格改定の交渉がある。交渉は難渋するものだが、明るく道理をもって早期決着をめざそう。

(2018年4月11日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2018年5月1日発行のDOR124号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2018年3月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法  郵送により自計記入を求めた
回答企業数  2,392社より938社の回答をえた(回答率39.2%)
   (建設169社、製造業312社、流通・商業274社、サービス業175社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員38.89人
       臨時・パート・アルバイトの数25.47人

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