<< 中小企業家しんぶんのトップに戻る

中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2002年12月25日号

▼ おせち料理とは朝廷の五節会(ごせちえ)に対し、公家以下一般の家庭で五節供(ごせっく)の祝いにつくられた料理をいう。5節とは今流に言えば正月の七草の日、3月の雛祭、5月の端午の節句、7月の七夕(たなばた)、9月の重陽(ちょうよう)。正月以外は奇数月と同じ日になっている

▼それがいつのころからか、正月だけを「おせち」と呼び、正月料理をおせち料理と呼ぶようになったらしい。もともと料理は、ゴボウ、いも、ニンジン、こんにゃく、大根、焼豆腐など精進料物を主とした煮しめが中心となっていたようで、自然発生的であるか意図的であるかは別として、これなら五節を通じて普通の家庭なら、実行可能な料理であったことがうかがわれる。それにその地域の特産品がプラスされて特色となっていたのだろう

▼何年か前、有名ホテルが高額なおせち料理を売り出して話題になった。お金持ちの老夫婦が対象であったかもしれないが、昨今は家伝の料理を家伝の味つけで作るなどまれではないか。どっさり届けられる正月用品のチラシを見ても素材だけの商品が極端に減っている。豪華ではあるが、地域の特色などはない。煮しめの欄には「大好評」と書いてあった。

「中小企業家しんぶん」12月25日号より


このページのトップへ