●2003年 8月 25日号 |
---|
▼輸入動植物などが世話しきれなくなって野に放たれたり、逃げ出したペットが自然増殖している例はしばしば報道されている。中にはブラックバスのように移入されて繁殖している例もあるが、いずれも生態系を乱すことになり、問題が生じている ▼今になって考えれば当然といえば当然なのだが、意図なき生態系攪乱(かくらん)の大元凶になっているのがバラスト水である。バラスト水とは船が積み荷を降ろしたあと、船体が浮いて不安定にならないよう、積み込む水のことであるが、次の荷を積む港ではその水を排水してしまう。国際航路の船は水生生物の大量移動も担っている ▼実害としては米国のクラゲが黒海で繁殖して魚の卵を食い荒らしたり、日本の海水が原因と考えられるヒトデがタスマニアで貝類に影響を及ぼすなどの事例が出ている。来春、バラスト水管理国際条約が採択されるようだが、環境保全問題の一環として重視すべきことだ ▼ちなみに、日本で排出されるバラスト水は年間1700万トン(97年)だそうであるが、日本から持ち出されるバラスト水は約3億トンと桁(けた)外れて大きい。ここでも輸出大国であるわけだが、それだけに、より積極的な対応国となるべきであろう。 「中小企業家しんぶん」 8月 25日号より |
▲このページのトップへ |