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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2003年 10月 25日号

▼日々の仕事の中で、選択に迷ったり壁にぶつかった時など、ふと思い浮かんだ諺(ことわざ)からヒントを得たり、自信を持てたりすることがある。ただ逆の意味の諺も結構多く、理屈っぽい若者の中にはまずそこに引っかかり、言葉の吟味だけで終わるものもいる。もちろんすべてTPOであるのは言うまでもない

▼猪突猛進でわが道を行くことが成功への唯一の道である場合もあろうが、こと人育てに関する限り、急がば回れの信念が正解だと実感している。ここで留意せねばならないのは「回れ」の意味である。語意どおり遠い道とか、時間がかかるなどと受け止める人がいる。だからこの厳しい時代にとか、急場にはそれどころではないという結論を短絡的に出し、アメとムチの時流に身を任せたりもする

▼回れとは、こちらの姿勢のありようを示している。現実には、極めて短い期間に人間としてのあり方に目覚めていく若者もいる。その一方では、アメとムチの連続作用で、物事を短絡的にしか考えられなくなった年配者にもたくさん出会ってきた。その不幸に半ば同情しながらも、同友会の仲間をもっとたくさん増やさなければ、こういう不幸は消せないだろうなとしみじみ思ったりする。

「中小企業家しんぶん」 10月 25日号より


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