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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2005年 8月 25日号

▼関東のお盆は雨模様の休日となり、気温も30度を割って暑さを気にせず墓参りができた。数年前から気づいたことだが、お盆やお彼岸はもちろん、年末にも墓参りをする人が増えている。きれいに掃除され花が飾られている。墓の間を歩いて行っても花が一杯で心が和む

▼見るからに3代そろっての墓参と分かるグループもいるが、若い親子連れや意外と言えば失礼だが、中学生か高校生くらいの子がせっせと墓を洗っている光景にぶつかったりする。微笑(ほほえ)ましさがこみ上げてご苦労さんと声を掛けてしまう

▼お参りの時、墓に水をかける風習がある。本来は亡くなった人が産湯に使った井戸や川の水を使い、その同じ匂いで生まれ故郷を思い出してもらう目的があったと民俗学者は説明している。生まれ故郷の川水の匂いを頼りに戻る鮭と同じだなと、思わずにやっとしながら祖父母の顔を思い浮かべたりする

▼何万年の間には嵐があり、地震や火山の噴火もあり、時には日照りで飢饉もあったろう。熊や狼に襲われたかもしれない。しかし連綿と命は引き継がれ、今私はここにいる。子に引き継いだ命は守られねばならないし、その子やその孫に命を育む水を残さねばなるまい。

「中小企業家しんぶん」8月 25日号より


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