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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2008年 7月 5日号

▼大阪市西成区の商店、住宅、学校が混在する地域で操業するA社。先代から継いだ鋼材商社を付加価値の高い鋼材加工へ転換し、どんな仕事も断らない「NOと言わない企業」をめざし業績を伸ばしてきました

▼「雇用責任を果たすのが中小企業の使命」と考え、地元高校から毎年1人、2人と新卒者を受け入れ企業の若返りをはかります。ある日、窓の外から「この会社、エー会社やでー。給料も高い」の声が社長の耳に入りました。驚いて外を見ると、何と知り合いの高校教師が生徒たちを連れて歩いているのです。思わず頬(ほほ)がゆるみました

▼経営指針の勉強会を積み上げ、職場改善を自主的に進める気風も少しずつ定着してきました。工場が住宅街に立地しているため工業団地への移転話もあります。しかし、社長は「近所の小学校、中学校に通う子どもたちにとって、機械を動かし、汗を流して働く人たちの現場に毎日ふれる、これは生きた教材、地域の文化ともいえるのではないか」と考えます。社員の7割は徒歩か自転車通勤。もちろん、騒音対策には万全を期す。「ものづくり工場に親近感をもつ環境を残すことも中小企業憲章の精神に合致します」。ロマン溢(あふ)れる挑戦に聞く側の胸も弾みます。

「中小企業家しんぶん」 7月 5日号より


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