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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2017年 8月 5日号

▼今から80年前、1937年出版の『君たちはどう生きるか』。児童文学者で雑誌「世界」の編集長でもあった吉野源三郎によるもので、児童文学の形をとる教養書として今も読み継がれています。主人公のコペル君は、世の中にさまざまな問題意識を感じ始める中学生。「おじさん」とのノート交換を通じて、平易な表現を用いながらも科学的な「ものの見方」を育んでいく物語です

▼数年前、中小企業庁幹部の講演の中で、『君たちはどう生きるか』を座右の書としていることを聞き、「このような真っ直ぐな人が中小企業憲章の制定に携わっていたのか」とうれしく思ったことを覚えています。私たちの経営理念づくりでも、「あなたは何のために生きているのか」から導入する同友会もあり、共感を覚える方も多いでしょう

▼1937年は、7月7日の盧溝橋事件が発端となり日中戦争が勃発したことが象徴するように、軍国色強い時代の只中にありました。そのような時に人間としての生き方を問うたことは、勇気ある出版でもあったと思われます。今の時代でも、為政者をはじめ、「あなたはどう生きるのか」と問われた時、どのような言葉を発し行動するのか、これは大切な評価軸です。

「中小企業家しんぶん」 8月 5日号より


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