豊かな地域づくりに向けて【熊本】

豊かな地域づくりに向けて

熊本同友会が農業部会、環境部会を立ち上げ

 昨年7月21日、熊本同友会に、「農業部会」と「環境部会」が発足しました。現在農業部会が28名、環境部会が29名です。

 発足に際しては、「この部会でどんなことがしたいか」というアンケートを実施し、まず農業と環境の現状を知ろうと、活動してきました。

 第1回学習会を8月18日に開催。「熊本県の環境施策とこれからの環境問題を考える」をテーマに熊本県環境生活部環境政策課課長補佐の宮尾千加子さんのお話しと、「生産者が現在どのようなことを考えて農業をしているのか」をテーマに、熊本で日本でもトップクラスの芋を生産している農業法人山渡会代表の渡邊直哉さんのお話を聞きました。

 9月23日には、「戦略経営と効率化で農業は事業になる」をテーマに、横島町の(有)北部農園(上田教二社長)の農園を訪問。もともと農家に肥料を販売していた上田さんが、10年前に自ら農業を立ち上げ、今では熊本県でナンバーワンのレタス農家になっています。「農業はやり方次第では十分事業として成り立つ」と話しました。

 今年1月29日には、第2回学習会を開催。「熊本の地下水を考える」をテーマに、熊本市環境保全部水保全課係長の田上孝一氏を講師に迎えました。私たちの暮らす熊本の地下水が危機的状況にあることをひしひしと感じさせられました。

 2月18日は特別講演会。佐賀県の農民作家で、作家農民連合九州・共同代表の山下惣一氏の「日本における農業問題と企業経営の接点」という講演を聞きました。「日本の消費者が日本の農家の作ったものを食べないために農家が食べていけなくなった」というお話を聞き、地産地消が農業を発展させていくことにつながるのではないかと考えさせられました。

 そして3月24日には、熊本県主催の「みんなで進めよう! 地球温暖化防止活動推進シンポジウム~環境立県くまもと~」に参加しました。熊本では、2月の日照時間が前年対比で123%、平均気温が3・7度上がるなど、地球環境がおかしくなっており、熊本の一等米と言われるランクの白米が、8月半ばの夜の冷え込みがないため、以前に比べ量が取れなくなっているなどの話から、環境と農業は表裏一体のものではないかと考えさせられました。

 熊本の専業農家の人口は全国第3位、担い手認定農家と言われる農家は全国2位の多さです。生産高は全国7位で、農作物別では、イ草、しらぬい(でこポン)、夏ミカン、スイカ、トマト、河内晩柑、馬肉、かすみ草が全国一位となっています。

 熊本県は、農業生産額が非常に大きく、全国でも金額で言えば食料自給率が100%いっていると言えます。環境面でも、生活用水が地下水で100%まかなえるという都市です。その豊かな環境と農業に、われわれ中小企業家も何かかかわっていけるのではないかという思いで、両部会をさらに推進していきたいと思っています。

 9月27日には、大津町と協定・覚書を締結し、大津町所有の「広葉樹の森」を借り受け、涵養林植樹運動に取り組むほか、11月14日の経営研究集会では、「環境問題から永続的な経営を考える~農業・工業・商業、そして環境も地産地消」をテーマに分科会を担当することになっています。

熊本同友会農業部会部会長 坂部 龍也((株)九州永田専務)
       環境部会部会長 菅原 時男(未来工業(株)熊本工場工場長)

「中小企業家しんぶん」 2007年 9月 5日号から