若者が働きたくなる地域に 小山支部(栃木)

小山支部長  八木 仁氏((株)シンデン社長)

―地域の特徴は。

八木 栃木県の南の端、茨城、埼玉、群馬に接する3市4町を包含する地域で、中心の小山市の人口が16万、県内第2位の都市です。都心まで70キロメートルありますが、新幹線での通勤圏内にあり、優秀な若者は、東京で働いています。一方、隣の茨城からは、小山に買い物に来ているという状況もあります。

 工業と農業の生産高も県内第2位。1970年代、工業団地が造成され、大手の工場が都内から移転してきました。小山駅から半径20キロの範囲に茨城県が3分の1入ることもあり、支部例会は茨城同友会の後援で行い、それぞれの地域の経営者の学びの場となっています。

―支部の特徴は。

八木 支部は、今年4月に設立されました。設立当初、会員は17名でしたが、現在は23名です。

 毎回の例会に力を入れ、オブザーバーが半数を超えることもありますが、グループ討論を行い、その発表をだれでもできるように、全員に毎回「発表用紙」を配布し、(1)報告の感想、(2)討論から学んだこと、(3)例会を通じて実行しようと思ったこと、(4)会員増強のアイデアの4点を記入してもらい、抽選で発表者を決定するなど、例会に緊張感を持たせています。

 設立前から、小山高専の産学官コーディネーターや地元商工会議所、行政の方などにも好意的に見ていただいています。

―入会のきっかけは。

八木 6年前、当社の本社機能を茨城から栃木に移した時、経営者の集まりで会員の方に誘われ、知っている方もいたので入会しました。

―同友会で学ばれたことは。

八木 自分自身や自社を他社と比較して客観的に見て、学んできました。代表理事に誘われて全国行事に出るうちに、ほかの会員はやっているのに、なぜ自分にはできないのか、できていないのかと悔しい思いばかりしました。

 また、同友会では「国民や地域と共に歩む中小企業」といいますが、そのことが大変重要だと思いました。当時、栃木では当社の存在感がなく、求人しても人が来ない状態でした。その上、当社の中堅社員が急死したとき、家族の方は彼がどのような会社でどのような仕事をしていたのかをまったく知らなかったことにショックを受けました。当社もそうですが、社員が家族に自慢できる会社、社員が子どもに入社を勧めるような会社を地域に多く輩出していくことが大事だと考えるようになりました。

―支部長として考えていらっしゃることは。

八木 三重の当社工場がある桑名では、3軒両隣が同友会会員という状況にあり、経営者同士がネットワークをつくっています。会員増強をすすめ、そのような地域にしていきたいものです。また、鮭が放流された川に戻るのは4年かかると聞いていますが、人間を戻すには10年はかかると考え、例会への大学生の参加を歓迎しています。地元の優秀な若者が「勤めるなら小山、起業するなら小山」と希望する地域にしていきたいと考えています。

▼小山支部の概要
設立 2006年4月
会員数 23名
対象地域 小山市、下野市、栃木市、野木町、大平町、藤岡町、岩舟町
(人口25万人、企業数1万6997社)

「中小企業家しんぶん」 2006年 10月 15日号より