【札幌支部江別地区会】「WE」合言葉に地域にうねり~ベッドタウンで企業と市民が連携

 北海道同友会札幌支部江別地区会(永森富久男会長、会員96社)の拠点都市・江別市は人口12万人。札幌市のベットタウンであり、大学が4校、学生数が1万5000人いる学園都市でもあります。しかし、働く場所と消費は札幌志向が強く、公共事業削減で地元ゼネコンの倒産も続き、地域経済の停滞は、会員企業に大きな影響を与えています。

 地区会では、「このまま、この地域で商売を続けて、私たちに将来はあるのか」という議論が何度も交わされてきました。そうした議論を経て、昨年、「WEえべつコイン(江別共通硬貨型商品券)」「WEえべつ祭り」が取り組まれました。

「WEえべつコイン」が半年で4回転

 「WEえべつコイン」は、市内の消費循環を高めて、商業活性効果を生み出す目的で7月から半年間実施されました。

 コインの使用範囲を江別市内に限定し、消費者は硬貨を1枚950円で購入し、加盟店では1000円の買い物ができるというプレミアム付き。硬貨型商品券として全国で5例目、発行元が同友会というのは全国初の取り組みになりました。

 成功させるには、取扱加盟店の確保が最低条件です。永森会長をはじめ、幹事が昼夜を問わず市内各団体へ説明に回り、取扱店297店舗、コイン販売店14店舗、換金業務を担う金融機関の協力体制を整えました。コインは5000万円分製作され、期限の12月25日までにほぼ4回転し、総額1億8800万円を超える金額が、地域内で循環しました。

 冬に向かって石油製品が大幅に値上がりするなど、市民の暮らしが大変になっているおり、消費税分に当たる5%のプレミアムは歓迎され、地域の商店や企業を見直すきっかけともなりました。

祭りに市民1万名が参加

 一方、「WEえべつ祭り」は、札幌志向の市民に中小企業の魅力を知ってもらい、これからの地域づくりを共に語り合う場として、10月13日に開催されました。開催にあたっては、商工会議所や農協など他団体と共同で実行委員会(委員長は永森会長)を組織し、7カ月にわたって準備を重ねました。

 当日は約1万名の市民が来場し、53社の展示ブース、大工・板金職人などの技の実演コーナー、江別産小麦を使用した巨大パンの制作、地元食材を生かした屋台村などは終日大盛況です。

 人気を集めたのは、職人さんによる手わざの実演。板金業の職人さんはブリキの折鶴制作を披露し、煉瓦の積上げ体験には長蛇の列ができました。イベントを通じて、市民、企業同士の結びつきが強まったとの声が多くの企業から寄せられています。

 「WEえべつ」の「WE」は「WAVE(うねり)」「EVOLUTION(発展)」の頭文字から成り立っています。同地区会では、今後も「WEえべつ」を合言葉に、地域に大きなうねりを起こしていこうという機運が高まっています。

(北海道・佐々木)

「中小企業家しんぶん」 2008年 1月 15日号から