地酒「美苫」が広げる地域づくり~北海道・苫小牧支部「美苫みのり会」

工業都市苫小牧から地産地消の特産品を

美苫

 「苫小牧から全国に誇れる特産品を」と、7年前に北海道同友会苫小牧支部が企画した地酒「美苫(びせん)」。このほど農林水産省・経済産業省の「農商工連携88選」に選ばれたほか、初出品した世界的に権威ある食品品評会、モンドセレクションでも金賞を受賞しました。

 製造元の曲イ田中酒造(株)は、全国新酒鑑評会でも道産米を使った清酒で金賞を受賞するなど製造技術と品質が全国的に認められており、さらに世界的評価も受けることとなりました。

支部総会がきっかけ

 2001年5月、支部総会でのパネルディスカッションがきっかけとなり、「地産地消」をキーワードに始まった地酒づくりへの挑戦。水は、1985年旧厚生省の「おいしい水100選」に選ばれた苫小牧市の水道水(樽前山の伏流水)を使用、原料米にJAとまこまい広域の厚真産酒造好適米「初雫(はつしずく)」を使っています。酒蔵のない苫小牧から同友会のネットワークを通じ、しりべし・小樽支部会員である曲イ田中酒造(株)に、地元の水と米を持ち込み醸造。地酒「美苫」が生まれました。

美苫が広げる 「食」への展開

美苫お披露目

 地酒の相乗効果は、食材の地産地消から創作料理にまで輪を広げています。

 毎年12月に開く「美苫」お披露目会は、「美苫」を使ったハスカップゼリーや、「美苫」で漬け込んだ白老牛のビーフジャーキーなど、創作料理の発表の場となり、「美苫に合う料理」が生み出されています。地域の食品製造業の手により、「美苫」の酒粕から「美苫煎餅」や「美苫まんじゅう」、「美苫」の米粉からは「美苫和風ロールケーキ」なども商品化されています。

 市民参加型の取り組みとして設立された「倶楽部びせん」では、春の田植えに始まり秋の稲刈り、酒蔵での初搾り見学など「美苫」ができるまでを自ら体験することで、市民が生産農家や蔵元など関係者と交流。さらに、今年で3回目を迎えた美苫ヌーボーパーティーや、美苫販売店の皆さんがマスターとなる臨時屋台「みのり」開設など、市民が気軽に「美苫」を味わえる機会を設けています。

 初年度(2002年1月)は販売本数4422本で始まった美苫も、2008年1月には販売本数累計5万本となり、販売店舗も苫小牧市内14店舗と厚真町2店舗の16店舗まで広がっています。今後も、焼酎づくりなど、生産から加工・流通まで横断的連携で地域活性化を目指し、地域ブランドづくりを進めていきます。

「中小企業家しんぶん」 2008年 5月 5日号より