新入社員が会社を変えた マツダオートザム福山南(北村自動車(株))取締役部長 北村 太郎氏(広島)

CS賞全国第1位に輝いて 社員が元気で活躍できる企業づくりを

北村部長

採用に関する悩み

 2001年12月に同友会入会。地区会へ参加する中、地区会以外でも勉強するところはないかと当時の地区会長に相談したところ、勧められたのが求人社員教育委員会でした。

 当時、定期採用はしていませんでしたが、私の初めての後輩となる若手営業職を採用することになり、ハローワークへ求人票を出しました。

 秋、就職活動も大詰めというころです。すぐに専門学校から連絡があり、3人の卒業予定者を紹介していただきました。すぐに会社説明会を開いたところ、遅刻する、朝からかなり雨が降っていたのに傘もささずズブ濡れで来るなど、とても一緒に働きたいと思える人たちではありませんでした。

 そんな悩みを求人社員教育委員会の雑談の中で話すと、共同求人活動への参加を勧められました。すぐに素直に参加を決めました。

本当に頼りになる先輩会員

 参加してからが大変でした。まず、「RUN」(広島同友会発行の就職情報誌)の原稿が書けません。初任給(給与)を明確にすることからのスタートでした。とにかく、先輩会員の方に相談し、他社と比較したり、真似をしたりしました。

 合同企業説明会も大変でした。何も分からなかったので、何の準備もできていません。当日の会場で先輩会員から、今日面談した学生へ会社訪問や、会社説明会の日程の案内を伝えることを知り、その場で会社説明会の日程を決める有り様でした。

 2003年当時は、就職氷河期で企業にとっては追い風でした。ブースには30人を超える学生の方に来ていただけました。出会った学生の印象は、みんなしっかりしている、就職したいという思いに溢(あふ)れている、以前の学生とは姿勢がまったく違うということでした。

 先輩会員からの「きちんとした学生を採用するには、自社をきちんとしなければならない」というアドバイスを肝に命じ、とにかく分からないことは全部教えてもらい、会社説明会、入社試験、適性検査など手順を踏んで、結果その年は、3名の新卒者を採用することができました。

 その後、採用を見送った年もありますが、06年に1名、そして、今年は2名に内定を出しています。

新入社員が大きな力を発揮

 共同求人で新卒者を採用するということは、本当に会社に活気を与えることだと実感しています。現実に、3名を採用した年は、売上が大きく伸びました。真っ白な思いで入社してきますので、こうしようというベクトル合わせがスピーディーにできます。その新入社員の動きは、社内全体の動きをまとまりのあるものに変えていきました。

 その結果は、マツダの販売会社 全国オートザムの中で、2007年度 「総合優秀賞」第9位、「CS賞」全国一位という栄誉となって出ました。顧客満足(CS)で全国一位になれた原動力は、共同求人で採用した新入社員です。

働きがいのある企業づくり

 最初に採用した社員が6年目を迎え、社内の体制をさらに整えていく必要を感じています。幸いなことに共同求人で採用した4名の社員は、まだ1人の退職もありません。

 社内の改善のために、まず、「社是」から「企業理念」に改めました。これから組織体制を見直し、将来を展望でき、やりがいを感じられる企業づくりを社員と共に整えていく予定です。

 女子学生からも問い合わせが多く、自社の女性社員が直面する問題でもあったので、「家庭と仕事の両立支援企業」はすぐに申請し、認定をいただきました。

 なかなか毎年とはいきませんが、先輩後輩として育ちあう仕組みを維持していくためにも、共同求人活動を継続していきます。そして、社員が元気で活躍できるように、経営者として自分自身を磨き、働きがいのある企業づくりを進めていきたいと思います。

(「同友ひろしま」313号より)

会社概要

設立 1964年
資本金 1600万円
年商 9億円
社員数 18名
業種 マツダの新車・中古車販売、車検整備、修理全般、保険業務
所在地 福山市曙町
TEL 084-954-7770
http://www.maz-fukuyama.com/

「中小企業家しんぶん」 2008年 9月 15日号より