東北の食と農が地域と日本を変える「東北の食と農を考える見学交流会INみやぎ」

 「東北の食と農を考える見学交流会INみやぎ」が7月16~17日、今年設立6周年を迎える宮城同友会農業部会の主催で、宮城・鳴子ホテルをメイン会場に開かれ、宮城をはじめ、岩手、青森、山形、福島の同友会から農業関係者など71名が参加しました。昨年6月に岩手で開催された「農業・食糧生産関連部会見学交流会」に宮城同友会から農業部会のメンバーなど10数名が参加したことがきっかけで、部会長の中川浩志氏(タカラ米穀(株)社長)が「東北の食と農が地域と日本を変える! われわれの手で仲間が一堂に集う場をつくろうじゃないか!」と呼びかけたことから始まりました。

 1日目は、(株)渡辺採種場(渡辺頴悦(えいえつ)社長)、農事組合法人水鳥(伊藤康秀社長)、(有)耕佑(山村喜久夫社長)、(有)サンファーム姫松(阿部敏社長)を見学しました。そのうち、(株)渡辺採種場の瀬峰研究農場では、渡辺社長によるミニ講演会のあと、現場見学が行われました。

 2日目は、「東北の食と農が地域と日本を元気にする!」をテーマに、中川部会長がコーディネーターを務め、亘理アセロラ園代表の伊藤正雄氏と、(有)伊豆沼農産社長の伊藤秀雄氏によるパネルディスカッションが行われました。

問題意識もって

 パネルディスカッションでは、今後の経営課題として、亘理アセロア園の伊藤正雄氏は次のように話しました。

 「今後を考えて栽培面積を増やすかどうかの決断の時期に来ている。遡(さかのぼ)れば関ケ原の戦いから続く伊藤家の歴史と、その中で歩んできた農家としての歴史を、ぜひ今後も継承していきたいと考えている。地域の農業においては、『続けよう』という農家と『あきらめよう』という農家の二極化が出てきている。農業政策に基づいて力を入れる作物を変えている方もいる。

 “なぜ?”“どうして?”という問題意識を常に持って取り組まないと、政策や世界的な流れに振り回されたり、取り残されたりすると考えている」。

基本スタンスは地域

 伊豆沼農産の伊藤秀雄氏は今後の課題について、「当社の基本スタンスは地域にある」と実感しているといい、次のように話しました。

 「今、自社がある登米市迫町の、昔は村であった新田というところを地域と捉え、2年前からここの地域の方々と『あるもの探しの会』という会をつくって活動している。これは、『日常生活でさりげなく地域にあるものの中に価値を見出していこう』というもの。

 具体的には、『見る角度を変えてみる』『外の方に見ていただく』『若者の見方を素直に受け入れる』ことを組み合わせることで、新たな価値が発見され、事業を起こしたり環境問題に取り組んだりということにつながっていくと考えている。その中で、地域が『外へ自慢したい』という雰囲気になれば誘客につながり、来ていただいた方々に『感動』を提供するというサイクルができ、さらに地域が活性化すると思う」。

 パネルディスカッションを受け、「あなたの考える食と農のあり方とは?」をテーマに、活発なグループ討論が行われました。

 来年は、青森同友会で開かれることになりました。当日参加した(株)3沢農場会長の山崎伸氏(青森同友会地球環境部会長)は、「東北各県は自然環境も違い、経営環境も違います。特に農業分野の勉強は、現場で学ぶことが大事です。来年は青森県で開催しますので、現地に来て学びと交流を深めましょう!」と呼びかけています。

「中小企業家しんぶん」 2009年 8月 15日号より