組織率10%超える支部の活動より(4)【広島・呉支部】中期ビジョンが転機に本質の追求が課題

 中同協では、地域に責任の持てる同友会づくりを進めようと、組織率10%をめざしています。組織率が10%を超える支部の活動を連載で紹介しています。4回目の今回は、広島同友会呉支部を紹介します。

量から質へ

 呉支部のこの10年来の課題は「質を高める」ことであり、現在も格闘中です。

 呉支部はバブル絶頂期の1988年に設立され、積極的に会員増強に取り組み、1995年に約550名の会員数に達しました。そこから2005年の361名まで会員数が減少しました。現在会員数は377名、呉市の法人企業数対会員数(356社÷2956社)は12%となっています。

 呉支部の大きな転機の1つになったのが2001年の春に発表した第2次中期ビジョンです。すなわち、「これまでは、行事、活動、人数等、目に見えるものが重視されがちでした。それらを全否定すべきではありませんが、これからは、質、中身、成果を追求していきたいものです」(第2次中期ビジョンより)とうたいました。

同友会の原点に帰る

 さらに、「同友会の原点に帰り、理念と目的に忠実に沿って、組織、活動、運営等を見直していきましょう。また、会員の経営の実情と切実な思いに応え、会員が自社の実践に活かして成果が出せるような会のあり方を構築していきましょう。会員企業の経営の発展がすなわち同友会の活性化であり発展です」。そのための切り口として、「経営指針」を中心に活動を再構築していくこと、また「経営指針」への入り口として、会員が自社の問題・課題を語れる場(経営体験発表やグループ討論)を広げていく方針を打ち出しました。この基本的な方向は、現行の第3次中期ビジョンにも受け継がれています。

地域に責任を負えるか

 第2次中期ビジョンでは内部固めに力点を置き、「対外的なかかわりについては敢(あ)えて優先順位を下げていましたが、周囲の期待が高まり、予想外にたくさんの動きがありました。行政、学校、地元金融機関ほか、外部との接点が増え、関係が深まってきました」(第3次中期ビジョンより)。会として、(財)くれ産業振興センター理事、NPOアクティブベースくれ選考委員、呉市キャリア教育推進協議会委員、県立呉工業高等学校外部評価委員、呉市プロ野球公式戦開催実行委員会委員などの役職を受けています。

ごまかしはきかない

 呉市の人口は約25万人、海と山に囲まれた地形で、それゆえ明治時代に海軍鎮守府、海軍工廠が設置され、戦艦大和に象徴される技術者の町として発展してきました。国策で形成された、県内でも独特の歴史を持つ町です。

 この規模の地域に400名弱の会員がいるということは、ある程度、固有名詞で認識し合える関係にあると言えます。一面は、会員どうしのさまざまなかかわりがあり、退会しにくい状況になっています。別の面では、いいことも悪いことも会の内外に伝わり、ごまかしがききません。

 「どのような会員企業がいるんですか? どのような活動をしているんですか?」、こうした問いにホンネで答えられるようになることが現在の呉支部の課題であり、次のステップへ進む担保だと思われ、鋭意努力中です。

広島県中小企業家同友会 事務局次長 竹河内博之

「中小企業家しんぶん」 2009年 11月 15日号より