組織率10%超える支部の活動より(5)【福島同友会郡山地区】地域10%の会

仲間同士の連帯をもとに、地域からの期待に応えられる地区・企業に

 福島同友会郡山地区は福島県の中央に位置し、人口33万8000人の郡山市を中心として組織する会員数538名、組織率10・3%の地区です。

いつかは会議所の会頭を出せるような会に

 1977(昭和52年)に46名の会員で発足した福島同友会。郡山地区は1998年3月に会員500名を達成しました。

 これを支えたのが、5年ごとに出された全県としての中期ビジョンです。掲げられたビジョンをもとに、地区としての目標を掲げ、それを着実に実行してきました。

 設立当初、役員と事務局長とで「いつかは商工会議所の会頭を輩出できるような会にしたい」と語り合ったといいますが、それも2007年に実現しました。

 夢・ビジョンを描き、それを着実に実行していくことの大切さを物語るエピソードだといえます。

まずは「人」―顔が見える関係づくり

 500人を超える地区ですが、基礎単位としての地区は1つ。

 これまでにも何度となく地区分割論がありましたが、物理的・心情的にも行政の単位より細分化することは得策ではないとの判断により、現在も538名という巨大な地区として運営しています。

 巨大な組織のため、地区例会と合わせて、お互いの顔が見える組織としての小グループ活動を活動の柱に設定。

 地域全体の500名を超える経営者とのネットワークを広げる場(=地区例会)とお互いの顔が見える中で経営体験を交流させる場(=グループ会)、という両輪で活動を展開しています。

 組織を支えるのは何と言っても「人」です。経営者同士で声をかけ合い、自分たちの組織として運営していくグループ会は、こうした「人」と「人」との顔が見える暖かい関係づくりを支えています。

地域からの期待の高まり~「同友会でしかできない」ことを着実に

 こうした活動を通して同友会の存在が地域へ広がってくる中で、地域の対外的なネットワークも広がってきました。

 例えば職業安定所との間では、2000年に高校生のインターンシップを地域で初めて開催するにあたって、職安・学校・商工会議所と一緒に実行委員会を組織。教育の一環としてのインターンシップを地域に構築する一翼を担いました。以降、毎年職安が発行する職業講話の講師リストの約半分に同友会の地区役員が名前を連ねるなど、密接な関係を構築しています。

 こうした対外的な関係づくりには、日常的に対外業務に携わる事務局員の丁寧かつ戦略的な対応によるところも少なくありません。

 小回りが利き、実質的、地域の企業経営者としての「揺るぎない」理念を持つ同友会の存在は、地域から頼りにされる団体として存在感を増してきています。

600名会員をめざして会員増強活動を展開中

 毎年3000人を超える来場者を集める「夏まつり」を行うなど、500名会員のパワーを随所に発揮する郡山地区。

 地域10%を超えた中で、地域からの期待に応えられる企業づくり・同友会づくりの必要性を自覚しながら、今年度末までに地区会員600名(組織率12%)を目指した会員増強活動を展開中です。

「中小企業家しんぶん」 2010年 1月 5日号より